戦争/平和

高坂正堯『歴史としての二十世紀』(解題:細谷雄一)(新潮選書、2023)

高坂正堯『歴史としての二十世紀』(新潮選書、2023)を読む。 歴史としての二十世紀(新潮選書)作者:高坂正堯新潮社Amazon 「解題ーー高坂正堯が我々に託したもの」 (細谷雄一/慶應義塾大学教授)から引用する。 本書は、高坂正堯京都大学教授が 1990年1…

三たびウクライナ停戦論(伊藤智永)

クリッピングから 毎日新聞2023年9月30日朝刊 「土記」伊藤智永 三たびウクライナ停戦論 分かりやすい軍事解説で引っ張りだこの 小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター講師が、 月刊誌「世界」10月号に 「ウクライナ戦争をめぐる『が』について」 という…

空母「赤城」映像捉えた

クリッピングから 毎日新聞2023年9月18日朝刊 空母「赤城」映像捉えた 日米専門家ら ミッドウェー海戦で沈没 日米の専門家らが参加する国際的な研究チームは15日、 太平洋戦争のミッドウェー海戦で沈没した旧日本海軍の空母「赤城」を 映像で捉えることに成…

日本には自分の立場しかない(清沢 洌)

クリッピングから 毎日新聞2023年8月15日朝刊 「余録」 「日本はこの興亡の大戦争を始むるのに 幾人が知り、指導し、考え、交渉に当たったのだろう。 おそらく数十人を出でまい」。 外交史家、清沢洌が「暗黒日記」に記している。 戦時中、公言できない本音…

手嶋龍一/佐藤優『ウクライナ戦争の嘘ーー米露中北の打算・野望・本音』(中公新書ラクレ、2023)

定期的に出版されるこの二人の対談本は見逃せない。 新聞・雑誌では得られない情報、識見がしばしば得られる。 手嶋龍一/佐藤優『ウクライナ戦争の嘘 ーー米露中北の打算・野望・本音』 (中公新書ラクレ、2023)を読む。 ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打…

改正入管法の意味(毎日新聞特別編集委員 山田孝男)

クリッピングから 毎日新聞2023年6月19日朝刊 コラム「風知草」(特別編集委員 山田孝男) 改正入管法の意味 怒号と混乱の採決は国会会期末の年中行事。 今月9日に成立を見た改正入管法もその一つだった。 (略) 釈然としないのは報道である。 ニュースは大…

佐藤優評:池上彰『池上彰の「世界そこからですか!?」ニュースがわかる戦争・国家の核心解説43』(文藝春秋、2023)

クリッピングから 毎日新聞2023年6月10日朝刊 「今週の本棚」佐藤優評(作家・元外務省主任分析官) 『池上彰の「世界そこからですか!?」 ニュースがわかる戦争・国家の核心解説43』 池上彰著(文藝春秋・1760円) 池上彰の「世界そこからですか!?」 ニュー…

戦争が進行してゆく「過程」なら、平和は揺らぎのある「状態」だ(中井久夫)

クリッピングから 朝日新聞2023年2月4日朝刊 折々のことば(鷲田清一) 2636 戦争を知る者が引退するか世を去った時に 次の戦争が始まる例が少なくない。 中井久夫 戦争が進行してゆく「過程」なら、 平和は揺らぎのある「状態」だと精神科医は言う。 それは…

南沙良が田辺聖子に転生する

クリッピングから 讀賣新聞2022年8月15日朝刊 「試写室」セイコグラム〜転生したら戦時中の女学生だった件〜 (NHK=後 11.00) 「異世界転生」ブームにNHKが乗っかった。 現代の俳優がスマートフォンを持ったまま 過去の人物に成りかわる設定の企画第2弾。 …

戦争研究所作成「ロシア侵攻図」を鵜呑みにしてよいか(エマニュエル・トッド)

クリッピングから エマニュエル・トッド/大野舞訳 『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書、2022) 第三次世界大戦はもう始まっている (文春新書)作者:エマニュエル・トッド文藝春秋Amazon 2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。 日本のメデ…

松原隆一郎評:エマニュエル・トッド/大野舞訳『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書、2022)

クリッピングから 毎日新聞2022年7月16日朝刊 「今週の本棚」松原隆一郎評(放送大教授・社会経済学) 『「歴史の終わり」の後で』 フランシス・フクヤマ著、山田文訳(中央公論新社・2530円) 『第三次世界大戦はもう始まっている』 エマニュエル・トッド著…

あぁ、僕の宝物の落語全集が……(山田洋次)

クリッピングから 朝日新聞2022年7月2日朝刊別刷be 山田洋次「夢をつくる」4 敗戦で預金も株券もゼロに。 土地も家もすべて失った。 満鉄(南満州鉄道)に勤めていた父は失職。 衣服や家具、時計、父のカメラなどを売って食糧に換え、 空腹をしのぎました。 …

ウクライナ 別の視点(山田孝男)

クリッピングから 毎日新聞2022年4月18日朝刊 「風知草」特別編集委員 山田孝男 ウクライナ 別の視点 中国研究の論客、遠藤誉の最新刊 「ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略」(PHP新書)の帯に こう書いてある。 「ウクライナは本来、中立を目指して…

アレクサンドル・カザコフ/佐藤優監訳・原口房枝訳『ウラジーミル・プーチンの大戦略』(東京堂出版、2021)

本書はロシアで2020年に出版され、 日本語訳初版が2021年8月に発売された。 アレクサンドル・カザコフ/佐藤優監訳・原口房枝訳 『ウラジーミル・プーチンの大戦略』(東京堂出版、2021)を読む。 ウラジーミル・プーチンの大戦略作者:アレクサンドル・カザ…

日本近代史の失敗事例は役にたつ(加藤陽子)

クリッピングから 毎日新聞2022年3月19日朝刊 「加藤陽子の近代史の扉」 武力をたのむ国は自滅する [露軍ウクライナ侵攻] 2年間続いた連載の最終回。 何が言いたいか端的に述べよう。 「現代の国際政治の専門家でもなく、 専門とする時代も異なる歴史家など…

自慢の息子が三つの骨片になって戻ってきた

クリッピングから 朝日新聞2022年3月12日朝刊別刷be 「編集部から」 3面「サザエさんをさがして」で取材した 西田充長崎大教授は実は大学の先輩。 外交官として長年、軍縮交渉の最前線にいました。 しかし「学生時代に核廃絶をやろうと決意した」 と知ったの…

浅田次郎オリジナルセレクション『悪党たちの懺悔録/松本清張傑作選』(新潮社、2009)

松本清張の小説が読みたくなった。 膨大な著作の森を散策するのに 有能な道案内人がいてくれるといいなと思った。 浅田次郎オリジナルセレクション 『悪党たちの懺悔録/松本清張傑作選』(新潮社、2009)を読む。 松本清張傑作選 悪党たちの懺悔録―浅田次郎…

半藤一利/加藤陽子/保阪正康 [編著] 『太平洋戦争への道 1931-1941』(NHK出版新書、2021)

4年前放送された1時間50分のラジオ番組が 一冊の新書にまとまった。 半藤一利/加藤陽子/保阪正康 [編著] 『太平洋戦争への道 1931-1941』(NHK出版新書、2021)を読む。 太平洋戦争への道 1931-1941 (NHK出版新書)作者:半藤 一利,加藤 陽子,保阪 正康N…

小松由佳『人間の土地へ』(集英社インターナショナル、2020)

「高橋源一郎の飛ぶ教室」(NHKラジオ第1)、 「くにまるジャパン極」(文化放送)に著者本人が出演し興味を持った。 小松由佳『人間の土地へ』(集英社インターナショナル、2020)を読む。 人間の土地へ作者:小松 由佳発売日: 2020/09/25メディア: 単行本 …

初沢亜利『Baghdad2003』(碧天社、2003)

2003年、イラク戦争直前にひょんなきっかけからバクダッドに出掛け、 戦後、今度は自分の意志で再訪した日本人カメラマンがいた。 初沢亜利の写真集『Baghdad2003』(碧天社、2003)を見る。 Baghdad2003―初沢亜利写真集メディア: 大型本 巻末に掲載されたエ…

土曜日は青野由利さんの「土記」が楽しみだ

土曜日は青野由利専門編集委員の連載コラム 「土記 do-ki」を読みたくて毎日新聞朝刊を開く。 クリッピングから 原爆75年とコロナ 青野由利 非人道的な原爆投下から75年。 核廃絶への思いを新たにする節目の年なのに、 新型コロナウイルスが影を落としている…

カザフスタンに帰って行った日本人

クリッピングから 東京新聞2020年6月19日朝刊 阿彦哲郎さん死去 元カザフ抑留者 この方のことは存じ上げないが、 訃報を読み、どんな人生を過ごしたのか気になった。 第二次大戦後に旧ソ連カザフスタンに抑留され、 現地で暮らしてきた阿彦哲郎(あひこてつ…

アウシュビッツは空から降ってくる

クリッピングから 朝日新聞2020年1月29日朝刊 政府の行動に無関心になったら アウシュビッツは空から降ってくる ポーランド南部オシフィエンチムで27日、 ナチス・ドイツが第2次大戦中につくった アウシュビッツ強制収容所が解放されて75年の式典が開かれた…

戦争は人間のしわざ(ヨハネ・パウロ2世)

クリッピングから 朝日新聞2019年11月29日朝刊 池上彰の新聞ななめ読み 被爆地での演説 ローマ教皇は何を訴えた 今月の「新聞ななめ読み」で池上さんは ローマ・カトリック教会フランシスコ教皇の 長崎・広島での演説に関する各紙の記事を取り上げました。 …

交流・交易の日本海を抗争の海にしてはならない(小笠原直樹)

クリッピングから 朝日新聞2019年9月20日夕刊 現場へ! 「地上イージス」の波紋(第4回) 地元紙1面 異例の社長論文 新型兵器イージス・アショアの配備計画に揺れる秋田県を歩き、 地元紙・秋田魁(さきがけ)新報に勢いを感じた。 防衛省のずさんな調査のス…

宝物はいつか消えるものなのよ(駄菓子屋のおばさん)

スクラップブックから 朝日新聞2019年5月16日朝刊・読者投稿欄 宝物はいつか消えるものなのよ 中学生 佐野達哉(静岡県 14) 僕が小学3年の頃、 「宝物はなに?」と駄菓子屋のおばさんに聞いた。 おばさんは一瞬こまったような表情をしてから言った。 「戦争…

村上春樹「猫を棄てる—父親について語るときに僕の語ること」(2019)

スクラップブックから 朝日新聞2019年5月10日朝刊 村上春樹さん、父の従軍記す 部隊が捕虜処刑 「幼い心に強烈」 作家の村上春樹さん(70)が、 父・千秋さんの中国大陸での従軍経験についてエッセーをつづり、 10日発売の月刊総合誌「文芸春秋」6月号に寄せ…

2019年「世界の10大リスク」(ユーラシアグループ)

スクラップブックから 朝日新聞2019年1月9日朝刊 世界10大リスク「米欧混迷」1位 米コンサルが19年版 米コンサルティング会社ユーラシアグループは7日、 2019年の「世界10大リスク」を発表した。 米国で民主主義が揺らいでいることや、 欧州でのポピュリズム…

やすらかに 美しく 油断していた(石垣りん)

スクラップブックから 朝日新聞2018年11月11日朝刊 折々のことば 鷲田清一 1284 いま在る あなたの如(ごと)く 私の如く やすらかに 美しく 油断していた。 石垣りん 広島に原爆が投下された 「午前八時一五分は/毎朝やってくる」と、 詩人は詩「挨拶(あ…

朝まで語り合ったシリアを覚えているだろう?

スクラップブックから 朝日新聞2018年10月17日朝刊 特派員メモ ダマスカス 残っていた安宿 シリアの首都ダマスカスを訪れた。 バックパックを背負って旅してから、13年ぶりだ。 中心部は多くの買い物客でにぎわい、 内戦下にあるのが信じられないほどだ。 と…