10年食日記、三冊目


職業柄なのか、性癖なのか、
おそらくその両方の理由だろうが、メモ魔である。
このデジタルノートの他に食日記をつけていて、
10年日記二冊が明日で終了し、新年から三冊目に入る。



  (10年日記は博文館に限る)


日記と言っても日々食べたもの、飲んだものが記録されているだけである。
通名詞と一部固有名詞が使用されるのみで、
動詞も形容詞も副詞もほとんどない。
ともあれ、1990年1月1日以降、
僕の内蔵を通過したものはほぼすべてこの二冊に書かれている。



  (人気のH牛肉店、年の瀬のにぎわい。
   混雑、行列は買い物系アドレナリンを分泌しやすい)


食日記を書き始めた頃、体調を崩しかけていて、
健康管理のためには飲食の記録が役に立つかなという理由で始めた。
世間で言う食い道楽ではまるでない。
池波正太郎先生の食日記を参考にして、
事実だけをきわめてシンプルに書く。だから、続いたのだろう。



  (今年も農家のYさんから餅が届いた。
   白米、赤米両方あるのがうれしい)


昭和から平成にかけて暮らしたある市井の人間の食生活など
歴史の史料にもなるまいが、
少なくともこの20年間、大病もせず、
当初の目的だった健康管理の役に立ってくれたことは事実だ。
それだけでよしとすべきだろう。



   (今年のクワイはおおぶりだが値が張る。
    おせちには欠かせない脇役)


ときおりパラパラ頁を繰っていると、
このときの食事は誰と一緒で、どんな話をしたかまで蘇ることがある。
胃袋の記憶というものは偉大なものである。
健康であり、なおかつある程度の収入があり、
しかもお金で買える安全な食べ物が流通していることに
頭を垂れて感謝したい。