病院内を漂流する

病院は巨大なシステムである。
そこでは医師も看護士も患者も
ステマティックに動かなくてはシステムが機能しなくなる。


とは言え、たった10分診察してもらうために
なんであれほど待たされるのか。
半病人、半怪我人が世にあふれているのか、
はたまた相も変わらず医師不足なのか。



広尾にある病院に診察を受けに出かけてみると、
受付で携帯電話のような器具が渡される。
直前3人くらいまでの順番が来るとこの機械が振動して
「そろそろ来てくださいね」と呼ぶのだそうだ。


呼び出しが来るまでは
病院の中なら喫茶室にいようと本屋にいようと大丈夫。
つまり、待ち時間が減る訳ではないが、
待合室に患者がしばりつけられることがなくなったという訳だ。




  (診察が早めに終了したので昼ご飯は広尾の「遠藤」へ。
   おかずが200円から400円までずらり並ぶ。
   親父さんひとりで次から次へと注文をさばく)


僕はこの日は運良くそれほど待たずに先生に診てもらえたので、
待合室にいるときにブッブッブッと振動した。
振動したら確認ボタンを押して止める。


最後に料金を支払う直前までこの器具を首からぶらさげ、
巨大なシステムの中を玉突きの玉のように
あちらへこちらへ漂流する。