西原理恵子『生きる悪知恵
ー正しくないけど役に立つ60のヒント』を読む。
老若男女の人生相談をサイバラがどうさばくか、
僕には見ものだった。
生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/07/20
- メディア: 新書
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結論。
サイバラの解答は苦労人らしく質問者の心のひだをとらえており、
なおかつ実践的な助言に満ちていた。
どんな質問でも茶化したりせず、
かと言って質問者を甘やかさない姿勢に僕は何度も共感する。
例えばこうである。
介護士の男性32歳の相談は、
「仕事にやりがいは感じますが、給料が安く生活が厳しいです」。
サイバラは介護士や看護婦の仕事を評価し
スチュワーデスの給料が(安くなったとは言え)より高いことを
おかしいとズバリ指摘する。
一方でサイバラの目線は現実から離れない。
国の制度が変わるのを待っていてもアテにならない。
その答えは、「同じような仕事の嫁を探せ」。
同じような仕事をしている女性なら互いの苦労も理解し合えるし、
第一、二人分の収入があれば給料が安くとも
りっぱに生計を立てられるではないかと激励する。
サイバラの人生相談、思いがけない収穫であった。
質問者との距離感は活字ならではのものだろう。
テレビでは無理だ。
同業の漫画家たちからの相談5件は蛇足だった気がする。
読者サービスのつもりだったろうが、
この部分だけリアリティが急に薄れた。惜しい。
(文中敬称略)