桝野浩一『一人で始める短歌入門』(2007)


桝野浩一『一人で始める短歌入門』を読む。
とあるところで桝野さんのセッションを受ける機会があった。
短歌の持つ、俳句や川柳とはまた違う表現力に興味を覚えた。
自分でも詠んでみたいと思えた。


一人で始める短歌入門 (ちくま文庫)

一人で始める短歌入門 (ちくま文庫)


CHINTAIの広告キャンペーンコンテストに寄せられた
8709首から百人一首を選定。
一首ずつ解説しながら
10週に渡って桝野さんの短歌入門講義が続くという構成である。
僕の気に入った歌をいくつか挙げてみる。


   朝露に靴を濡らして散歩する 越したばかりの家の周りを
                  (北海道 女盛り花盛り)


   この町はあすから遠い町になる 小学校からチャイムがきこえる
                        (千葉県 丹波凜)



   父親と引っ越す前に一度だけゆっくり食べた定食がある
                   (大阪府 瀧口康嗣)


   球場のどよめく風に乗ってくる部屋からふたり始まりました
                     (東京都 秋野道子)


   鎌倉で猫と誰かと暮らしたい 誰かでいいしあなたでもいい
         (佐藤真由美『プライベート』集英社文庫より)



家や引っ越しなどにまつわる短歌が集まっているのは
CHINTAIがスポンサーだからである。
五七五七七のリズムに言葉を閉じ込めることで
風景が広がったり、時間が伸び縮みするのがとても面白い。
文庫本書き下ろし。


プライベート (集英社文庫)

プライベート (集英社文庫)