佐藤優『同志社大学神学部』(2015)


青春時代の書であると同時に
若い世代へのメッセージである。
佐藤優同志社大学神学部
—私はいかに学び、考え、議論したか』を読む。



1979年から85年まで
佐藤が京都で神学を学んでいた時代を取り上げている。
僕が京都で大学生活を送ったのが
1973年から78年だ。
ピークはとっくに過ぎていたが、
学生運動の余波があった頃だ。
キエフ。楽。リラ亭。わびすけ。
佐藤が友人たちと議論した居酒屋、喫茶店
僕の活動領域とは異なるがなんとなく想像がつく。



佐藤はこの書でなにを伝えたかったのか。


 「人間、社会の役に立たない「虚学」である神学が、
  ソ連崩壊など時代の変わり目に生きるとき役立った。
  すぐに役立つ知識はすぐに滅びる知識だ」。


合理的精神の近代があちこちで綻び始めたいま、
僕たちはどこに向かえばいいのか。
科学以前の、ドグマが支配していた時代には戻れない。
けれども民主主義にも限界があることは
貧富の差が世界で拡大しているのを見るだけで一目瞭然だ。
青臭いと大人たちに笑われても
物事にまっすぐ取り組めるのが「青春」であるなら、
青春を生きる読者は過去だけでなく未来を本書から読み取るだろう。


新島襄 (岩波現代文庫)

新島襄 (岩波現代文庫)


(文中敬称略)