多和田葉子『百年の散歩』(2017)/著者インタビュー


ベルリン在住で日本語でもドイツ語でも
小説を発表をしているこの人が気になっていた。
多和田葉子『百年の散歩』が発表された。
ベルリンを舞台にした連作小説だ。



2017年4月18日読売新聞朝刊より。


   街を歩くと、孤独だと思う。
   家族や友達がいても、孤独だと感じさせられる。
   誰かを求めて、でも会えない。
   恋をしているのに、どこに恋があるか分からない。
   街全体に漂うそんな気配を書きたかった。


僕は2006年から08年までベルリンに通い、
ベルリンスクール・オブ・クリエーティブ・リーダーシップ(MBA)
卒業した。
延べで7〜8週間、この街に滞在した。
学校に近い定宿があったから
旅行者でなく、半ば生活している感覚で過ごしていた。
東京に暮らす今も勉強の合間にそぞろ歩きした
ベルリンの街や通りを思い出す。



  カント通り、カール・マルクス通りなど、
  この街の実在する通りの名前を各編の題にして、
  人間と言葉、歴史と幻想が交錯するような
  都市の物語を紡ぎ出した。(待田晋哉)


都内2区の図書館に予約を入れた。
村上春樹の新作ほどは待たずに順番が回ってくるだろう。


2017.4.21追記:


朝日新聞2017年4月19日夕刊にも
この小説が取り上げられた。
新作を待ち望んでいた多和田ファンがいることがよく分かった。
以下、多和田の言葉を記事から引用する。


   外語語を習うときに、
   正しく効率的にという考え方は嫌なんです。
   間違っていても面白い言葉づかいを探っていきたい。
   それが言葉の社会性から、
   個人を取り戻す抵抗にもなる。


   小説は社会のコミュニケーション、
   すなわち近代民主主義の基礎をつくっていると言っても
   過言ではない気がする。
   小説なくして民主主義なしと、
   言い切ってしまいたいですね。


百年の散歩

百年の散歩

(文中敬称略)