宇野弘蔵『資本論五十年(下)』(法政大学出版局、1973)


『経済原論』のような教科書を読んだだけでは
窺い知れなかった人柄、研究姿勢が十二分に伝わってきた。
宇野弘蔵資本論五十年(下)』(法政大学出版局、1973)を読む。
上下1,087頁の大作。



(各領域の基本書は手元に置いて繰り返し勉強したい。
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下巻第14章から第18章までの5章を、
「『経済原論』とその問題点」に当てている。
宇野と弟子たちが
宇野の代表作『経済原論』の問題点を議論した議事録だ。


経済原論 (岩波文庫)

経済原論 (岩波文庫)


五十年研究してもまだ奥がある
(…と宇野が断言する)『資本論』にも驚くが、
自分に分かること、分からないことを
率直かつ明快に語る宇野に感嘆した。
その境界線を認識できるのが知性だ。


インタビューする弟子たちとは
知的レベルが数段違うことが一読者にも歴然としている。
宇野はむしろそうした対話を通じて
自分の考えを深められると超然としている。


いま生きる「資本論」 (新潮文庫)

いま生きる「資本論」 (新潮文庫)

いま生きる階級論

いま生きる階級論


作家/大学教授の佐藤優さんから
「労働力の商品化」が『資本論』のエッセンスだと
発見したのが宇野だと教わり興味を持った。
この一二年、『資本論』、宇野の著作を行きつ戻りつしながら、
資本主義的生産様式の正体を掴みたいと勉強している。
現代に生きる僕たちの暮らしにも直結するからだ。


(宇野理論入門書。人柄が忍ばれる好著)


僕の冥界大学経済学部教授はマルクスであり、宇野弘蔵である。
道案内を務めてくださる佐藤さんにも深く感謝している。


wikipedia:宇野弘蔵
(文中一部敬称略)