譯者の薦めに従い下巻をまず読み、
次に上巻の「第一部 東洋の世界」を読んでから
最後に仕上げとして「序論」に取り組んだ。
ヘーゲル/武市健人譯『改訳 歴史哲學(上巻)』を読む。
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「譯者の序」から引いてみる。
歴史の事實の混沌、
そのいわゆる無政府状態をさばいて行く手際は
何といってもあざやかである。
人によってはうますぎるというかもしれない。
今日では、むしろ事實を事實のままに實證的に見て行くことが、
眞實の歴史の行き方のように云われている。
(略)
しかし、歴史哲學はそれが哲學であるかぎりでは、
やはりそういう實證的なものの底に本質をつかみ、
原理を見ることでなければならない。
(略)
(ブロックハウス百科事典第14版/1910年頃、Wikipedia)
ヘーゲル講義録のような「基本書」は
訳注、索引が充実しているかどうかで、
読んでいるときはもちろん、読後の利用価値がまるで違う。
訳者の付けた註釈は大変役立った。
もう一つ註釋のことについて云えば、
これは人名その他のものについて
本文を讀むに必要と思われるものを
譯者が選定して入れたものであるが、
べつによく研究したというほどのものではない。
大體、手許にあるブロックハウスと
一、二の邦語の百科辭典と
岩波西洋人名辭典とによって調べたものである。
(略)
ただヘーゲルの著作に當りをつけたところだけが、
譯者自身の努力と云えばいえる。
訳者は謙遜してそう書くが、
ヘーゲルの著作・講義録に精通していなければ、
「當り」などつけられまい。
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ヘーゲルは難解という印象だったが、
この『歴史哲學(全二巻)』は本当に面白かった。
「歴史の事實の混沌、
そのいわゆる無政府状態をさばいて行く手際」を存分に味わえた。