奨学金制度が家族まで追い詰める


スクラップブックから
朝日新聞2018年2月14日朝刊
奨学金破産」(上)
娘が破産 400万円の重荷
定年後も仕事 月3万円返還


自分が奨学金を借り、
大学に通っていたときとは
状況がまったく変わっている。
その現実をまず理解する必要があると思った。
地道な取材に基づく、検証的な特集記事だ。
(諸永裕司、阿部峡介)



   娘は30代になった。
   大学へ行くために
   日本学生支援機構から奨学金476万円を借りていた。
   父に連帯保証人、叔父に保証人になってもらった。
   卒業からしばらくして、
   返還金の重さに耐えられなくなった。


この女性は決して怠惰な人ではない。
高校時代は生徒会長。
アルバイトを掛け持ちしながら私立大学に通い、
業種を問わず15社を受け、就職。
奨学金返済を優先した。


職場の人間関係に悩み、体調を崩し退職。
この時点で奨学金の残金は400万円。
司法書士に相談し、自己破産を決めた。
請求は父に回り、本人は運悪く交通事故で入院。
再就職もままならない。


父は定年後もゴルフ場調理師として住み込みで働く。
保証人の叔父に迷惑をかけないため
自己破産もできず、月3万円ずつ返済。



       

新卒で職に就いても年収300万円程度では、
500万円近い奨学金=借金を返済するのは容易でない。
超富裕層から見れば「はした金」のような金額で
本人も家族も追い詰められていく。
教育の機会均等を助けるはずの奨学金が、
借り手にはただのローンとして重くのしかかっているのが現実だ。