池上彰さんの人当たりの柔らかさに騙されてはいけない。
日本屈指の硬派ジャーナリストである。
言うべきことはたとえ大権力が相手でも言い、
言うからには事実の裏付けをきちんと示す。
反知性主義の権力者(政治家とは限らない)にとって
これほどやりづらい相手はいないだろう。
毎月最終金曜日、この連載を楽しみにしている。
朝日新聞2018年3月30日朝刊
「池上彰の新聞ななめ読み」
「書き換え」か「改竄(ざん)」か 選ぶ表現に姿勢が映る
朝日新聞の3月2日付朝刊1面トップは衝撃的でした。
財務省が森友学園との国有地取引の際に作成した決裁文書が
書き換えられているという疑惑を報じたからです。
これ以降、新聞各紙は「朝日の報道によると」
という表現を使いながら、この問題を報じました。
(略)
朝日の名前を出した背後には
「誤報だったら朝日の責任ですから」
と言い逃れられるという意識があったように見えるのですが、
考えすぎでしょうか。
(略)
読売と日経は、その後も
(引用者注:朝日、毎日、東京、産経が
財務省発表の「書き換え」でなく
「改竄(ざん)」を使用した後も)
「書き換え」を使ってきましたが、
安倍首相の答弁で表記が変わりました。
3月26日の参院予算委員会で、安倍首相は
<今回の書き換えについて、
「改ざんという指摘を受けてもやむを得ないのではないか」
との意識を示した>(読売夕刊1面)のです。
(略)
その結果、翌27日付の朝刊1面で読売には
<学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決済文書の
改ざん問題で>という表現が登場しました。
日経も27日付朝刊2面で
<決済文書を財務省が改ざんした問題で>と書きました。
新聞社としての独自の判断をせずに
財務省の発表通り「書き換え」と書き続け、
安倍首相が認めた途端に「改ざん」と”書き直す”。
新聞社として恥ずかしくはないですか。
安倍首相率いる政府のアキレス腱について
読売、日経が「御用新聞」同然の報道姿勢であることが
事実の裏付けでよく分かる。
安倍首相が国会で朝日を批判し、
読売を読むことを薦める発言をしたのも道理だ。
最後の一行「新聞社として恥ずかしくはないですか」を
署名入りで書けるジャーナリストが日本にいま何人いるか。
池上さんは朝日連載だからと言って
朝日に肩入れして記事を書く人ではない。
この記事の主張を僕は支持する。
読売、日経はこれだけあからさまに批判されても
黙殺を決め込むんだろうな。
反論があるなら、紙面で反論すればいいのに、ね。
それがジャーナリズムというものだろう。
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