自分について再発見の余地がある(増田理美子)


スクラップブックから
朝日新聞2018年5月31日朝刊
読者投稿欄「ひととき」 また、歩き出そう
横浜市 増田理美子 主婦 57歳)



   長年勤めていた委託の仕事が終了になり、
   チームが解散になった。
   自他共に認める天職だったため、
   急に宝物を取り上げられた気分になった。
   悔しかったし、気もぬけたし、寂しくもあったし、
   ぽっかり心に穴が開いたようだ。


   そんな時、在宅で仕事をしている夫に、
   毎朝一緒に1万歩歩かないかと誘われた。
   あまり気乗りしないまま歩いてみると、
   これが実に気持ちがいい。
   (略)


   ウグイスがのびのびとさえずっている朝の日差しの中、
   今日やるべきことを考えて
   1日の行動をシミュレーションしながら歩くと、
   頭の中がスッキリと整理される。
   在職中にやっていれば、
   朝からジタバタしないですんだかな、と1人苦笑い。


   天職だと思っていた仕事がなくなってしまったが、
   この町のように、自分自身についても
   まだまだ再発見できる余地があるような気がしてきた。



天職を突然取り上げられて
心に穴が開いてしまった増田さん。
1万歩の朝のウォーキングをすかさず提案したご主人。
きっと増田さんの様子を見て
励まそうと思ったのでしょうね。


自分の力だけではどうしようもない場面が誰にもやってきます。
そんなとき声をかけたり、かけられたりできる人を
たった一人でも持っていられたら、
人生の風合いはずいぶん変わるだろうなと
増田さんご夫妻に共感しました。