青木祐子『これは経費で落ちません!』(集英社オレンジ文庫、2016)


通勤で使っている私鉄K線の
ドア横ステッカー広告でも確か見た記憶がある。
紀伊國屋書店本店で平積みになっていて
人気があるんだなと実感した。
青木祐子『これは経費で落ちません!〜経理部の森若さん〜』
集英社オレンジ文庫、2016)を読む。



腰巻きの惹句が面白い。


   だいたいの社員は、
   入社するとすこしずつずるくなる。


主人公はこう紹介されている。


   森若沙名子(もりわか さなこ)、27歳、彼氏なし。
   入社以来、経理一筋。
   きっちりした労働と、適正な給料。
   過剰なものも足りないものもない、
   完璧な生活をおくっている、はずだった。


沙名子は天天(てんてん)コーポレーション経理部に勤務している。
もとの社名は天天石鹸。
石鹸や化粧品を作るところから発展した会社である。
経理部女性担当者に視点を定めたところがよかった。
物語にさほどの悪人は登場せず、
気楽に読めるのがいい。
既に4巻まで出ていてシリーズ累計25万部突破。



『風呂ソムリエ—天天コーポレーション入浴剤開発室』が
本編からスピンオフで誕生。
森こさちによるコミカライズ連載が
2018年1月号から「Cookie」で始まった。
作者・青木祐子は『ぼくのズーマー』で2002年度ノベル大賞受賞。
才能を発掘した編集者と二人三脚で
このヒットシリーズを生んだのかな。