アントニー・D・スミス『ナショナリズムとは何か』(筑摩書房、2018)


こうした渋めの著作をきっちり出版してくれるのが
ちくま学芸文庫のいいところだ。
前々回の金曜日・紀伊國屋書店ツアーで見つけた一冊。
アントニー・D・スミス/庄司信訳
ナショナリズムとは何か』(原著2010/ちくま学芸文庫2018)を読む。


ナショナリズムとは何か (ちくま学芸文庫)

ナショナリズムとは何か (ちくま学芸文庫)


アントニー・D・スミスは
佐藤優講師が同志社講座2016年春学期・秋学期
「キリスト教とナショナリズム(全10回)」で取り上げた。
教科書に指定された『ネイションとエスニシティ ―歴史社会学的考察』
名古屋大学出版会、1999)に
90人の受講生で10ヶ月間読み解きに取り組んだ。
その基礎があったためか、
本書は自分でも意外なほど、すんなり頭に入ってきた。


「訳者あとがき—『ナショナリズムとは何か』入門の入門」が
読み解きの難所を事前に整理してくれていて親切。
ナショナリズムに関するさまざまな研究業績を理解するための
明快な枠組みを提供するとともに、この分野での半世紀以上にわたる
論争の熱気と複雑さ」(著者まえがきより)に読者を導いてくれる。


ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―

ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―


とは言え、簡単な本ではない。
『ネイションとエスニシティ』は
佐藤講師がチューターとして講義で難所をガイドしてくれ、
自分でも三度読み直した(音読もした)。
本書も読者に読み解く努力を要求する学術書だ。
原注、読書案内、参考文献、索引が充実しているのも
本格的な入門書にふさわしい。


編集担当:田所健太郎筑摩書房


ナショナリズムの歴史と現在

ナショナリズムの歴史と現在

  • 作者: E.J.ホブズボーム,E.J. Hobsbawm,浜林正夫,庄司信,嶋田耕也
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2001/03/19
  • メディア: 単行本
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(庄司信が訳者のひとりとして参加。ナショナリズム研究の古典)