こうした渋めの著作をきっちり出版してくれるのが
ちくま学芸文庫のいいところだ。
前々回の金曜日・紀伊國屋書店ツアーで見つけた一冊。
アントニー・D・スミス/庄司信訳
『ナショナリズムとは何か』(原著2010/ちくま学芸文庫2018)を読む。
- 作者: アントニー・D.スミス,Anthony D. Smith,庄司信
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2018/06/08
- メディア: 文庫
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アントニー・D・スミスは
佐藤優講師が同志社講座2016年春学期・秋学期
「キリスト教とナショナリズム(全10回)」で取り上げた。
教科書に指定された『ネイションとエスニシティ ―歴史社会学的考察』
(名古屋大学出版会、1999)に
90人の受講生で10ヶ月間読み解きに取り組んだ。
その基礎があったためか、
本書は自分でも意外なほど、すんなり頭に入ってきた。
「訳者あとがき—『ナショナリズムとは何か』入門の入門」が
読み解きの難所を事前に整理してくれていて親切。
「ナショナリズムに関するさまざまな研究業績を理解するための
明快な枠組みを提供するとともに、この分野での半世紀以上にわたる
論争の熱気と複雑さ」(著者まえがきより)に読者を導いてくれる。
- 作者: A・D・スミス,巣山靖司,高城和義
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 1999/06/10
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 26回
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とは言え、簡単な本ではない。
『ネイションとエスニシティ』は
佐藤講師がチューターとして講義で難所をガイドしてくれ、
自分でも三度読み直した(音読もした)。
本書も読者に読み解く努力を要求する学術書だ。
原注、読書案内、参考文献、索引が充実しているのも
本格的な入門書にふさわしい。
- 作者: E.J.ホブズボーム,E.J. Hobsbawm,浜林正夫,庄司信,嶋田耕也
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2001/03/19
- メディア: 単行本
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