池上彰・佐藤優『知らなきゃよかった』(文春新書、2018)


佐藤さんが突っ込むと、池上さんが受ける。
抽象論でなく、事実でやりとりするから話の信頼性が増す。
この二人の頭脳にはどれほどの情報が入っていて、
どれほどの速度で日々更新されているのかしらね。
池上彰佐藤優『知らなきゃよかった—予測不能時代の新・情報術』
(文春新書、2018)を読む。



   世の中、知らずにいれば
   幸せだったということがよくありますね。
   いまの国際情勢など
   そればかりではないかと思ってしまいます。


   佐藤優さんとの対談を何度も続け、
   国際情勢の裏側の話をしているうちに、
   聞いていた文藝春秋の編集者が
   「知らなきゃよかった!」と叫んだのが、
   この本のタイトルの由来です。
                 (p.3 「はじめに」(池上彰))


緞帳を上げる前の前口上、池上さん、さすがですね。
これだけで読者はググッと本篇に引き込まれます。


この新書では以下5つのテーマを取り上げている。


   第1章 北朝鮮が勝ったあとの世界
   第2章 劣化する日本人と日本社会
   第3章 トランプは、どこへ行くのか
   第4章 独裁化する世界
   第5章 本当は恐ろしい「新しい常識」


対談以外に【池上彰の眼】【佐藤優の眼】のミニコラムを設け、
それぞれに独自にトピックスを取り上げ、
意見を開陳しているのも好企画。
あっという間に読み終えてしまうほどの内容の面白さ、密度に
一読者として文句はまったくない。


編集を務めた文藝春秋三氏
(吉地真、前島篤志、西泰志)に要望がある。
二人の文春新書・国際情勢解析シリーズは
これまでの3冊(本書を含まない)で累計70万部突破と
本の腰巻きに書いてある。


だったら、いっそのことこのシリーズを
有料メルマガにしてもらえないか。
対談機会の頻度を上げてもらいたいし、
印刷期間を省いて、より最新のテーマを手早く取り上げてほしい。
メルマガを後から新書化すればいいではないか。


僕は月1,080円(税込)までなら負担する用意がある。
(本書は830円(税別))
メルマガの有料購読者を30,000人と試算すれば、
毎月3,000万円、一年で3億6千万円の売上が確保できる。
担当編集者1人とアルバイト2人くらいで体制を回せば
相応の利益は出るのではないだろうか。


それほどこの二人の対談には中毒性がある。
池上さん68歳、佐藤さん58歳。
二人揃って脂が乗りきった状態で仕事を続けられるのは、
そんなに長い期間ではないかもしれない(失礼)。
この期間に二人の知恵、洞察をできうる限り搾り取りたいのが、
傲慢な読者の欲求なのだ。


この小ブログが編集お三方、
もしくは関係するどなたかの目に留まり
編集部で検討がなされますように(祈)!


(お二人が情報入手法を公開した一冊。手元にあると便利)