朝日新聞 2018年10月22日朝刊、
一面トップの見出しはこうでした。
米、中距離核全廃 破棄へ
「ロシアが条約違反」主張
軍拡競争進む恐れ
トランプ政権の元で
また重大な政治決断がなされたことは分かります。
でも事の全容が記事からは見えてこない。
不満に思っていたら池上さんが
10月の「池上彰の新聞ななめ読み」で取り上げてくれました。
INF全廃条約 米が破棄表明
わかりにくい「中距離核」
朝日はどうか。
同日(引用者注:10月22日)朝刊2面にこう記しています。
<INF全廃条約は、1970年代にソ連が欧州に照準を合わせた
新型ミサイル「SS20」を配備し始めたことに端を発する。
米国は対抗策として新型の地上発射式巡航ミサイルを
欧州に配備し、両陣営の緊張が高まった。
転機は85年、ゴルバチョフ書記長が就任したことで、
米ソ間の交渉が加速。
米ソ首脳は87年、中距離核戦力の全廃を決めた
画期的な条約を結び、緊張緩和に大きな役割を果たした>
この条約が、いかに大きな意味を持つものだったのかが、
これでわかります。
それだけにトランプ大統領の破棄表明は衝撃的だったのです。
この記事で、なぜ「中距離」の名前がついているかもわかります。
旧ソ連圏から発射してイギリスやフランス、西ドイツに届く
ミサイルだったからですね。
(略)
ただ、なぜアメリカが条約を破棄しようとしているのかは、
毎日の記事がわかりやすくなっています。
(略)
これでアメリカ側の事情もわかりますが、
毎日の記事は続けて、こう書いています。
<一方で、米国のINF条約離脱の効果は「限定的」
との見方が米専門家に根強い。
条約は地上発射型だけを禁止しており、
潜水艦を含む海上艦船や航空機から発射するミサイルは対象外。
米国はこれらの兵器をすでに大量保有しているため、
現状でも十分危機に対応できると見る向きが多い>
なんだ、中距離ミサイルを大量に持っているではないか。
軍拡競争は続いていたのです。
同時代の日本に池上さんがいて僕たちはよかったですね。
各紙の断片的な情報を読み合わせることで
事実が浮かび上がる業を目の当たりにできるのですから。
毎月、新聞の読み方を勉強させてもらっています。
今月も讀賣・朝日・毎日三紙を読み解いて読み解いて、
最後の二行が光ります。