New York Timesデジタル版を購読している。
朝日新聞との提携90周年記念シンポジウムに招待された。
「激変時代の羅針盤 社会とメディアはどう動く」。
ニューヨーク・タイムズ発行人、アーサー・グレッグ・サルツバーガー、
同コラムニスト、トーマス・フリードマンが
スピーカーとして登壇することに興味をそそられ、出掛けることにした。
折よく勤務先の月一度のインプット・ホリデーだ。
遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方
- 作者: トーマス・フリードマン,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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会場は本郷の東京大学安田講堂。
サルツバーガーはデジタル時代にいかにジャーナリズムが独立性を保ち、
権力の監視を続けるか、経営者として的確な意見を述べた。
フリードマンは新著『遅刻してくれて、ありがとう』の内容を
要約して紹介した。
手練れのスピーカーである。
後半パネルディスカッションは
朝日新聞元主筆、元アメリカ総局長船橋洋一が
モデレーターを務めた。
船橋は自分の意見をあらかじめ持ち、
そのことを前提に参加4氏に質問しているようで不満が残った。
主役二人に加えて参加した鳥海不二夫東大大学院准教授、
素子・リッチニューヨーク・タイムズ東京支局員が
たびたび洞察ある発言をしているのに、ほぼスルーしてしまった。
鳥海は強いAI、弱いAIがあることを指摘。
世間で万能のように言われる強いAIはSFに過ぎず、
フリードマンが転換年と強調した2007年以来のデータが
弱いAIのベースになっていると発言。
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フェイクニュースについては
SNSから小サイトが利益優先でトピックを選択・採用し、
SNSで再拡散することが多いとデータを元に説明した。
鳥海はフェイクニュースを「ソーシャル・ポルノ」と名付けている。
世界からポルノがなくならないように、ソーシャルポルノもなくならない。
自己満足の世界に過ぎないので社会への影響力は限られていると発言。
この大事な指摘にも船橋は関心を示さなかった。
閉会挨拶で朝日新聞常務の西村陽一が、
メディアの危機を背景に今回のシンポジウムの意義を的確にまとめた。
サルツバーガーにニューヨークで事前取材もしていた。
だとすれば、先輩格の船橋にファシリテーターを譲らず、
西村自身が務めた方が話の引き出し手として適格だったろう。
一参加者として、そう感じた。
西村は9月25日に帝国ホテルで開催した
朝日環境会議パネルディスカッションでもモデレーターを務めた。
今回こそ適役だったように思う。
- 作者: 西村陽一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1998/02
- メディア: 文庫
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追記(朝日新聞2018年11月10日速報記事):