栗焼酎に利子をつける銀行


スクラップブックから
朝日新聞2018年11月21日夕刊
四万十の「銀行」 利子びっくり
焼酎「預貯酎」 酒造会社の遊び心


   日本中のどこの酒屋でも買えない焼酎を、
   高知県四万十町の「銀行」が売っている。
   栗焼酎「ダバダ火振(ひぶり)」で知られる酒造会社
   「無手無冠(むてむか)」運営の四万十川焼酎銀行だ。
   (略)


   2011年、「無手無冠」の
   当時の山本彰宏社長(故人)が設立した。
   大正地区の高知銀行大正支店が移転。
   にぎわいが失われると心配した山本社長は
   支店の建物をを買い取り、そのまま利用した。


   その後、遊び心で銀行業務をまねた。
   うたい文句は「預貯金ならぬ預貯酎(よちょちゅう)」。
   仕組みはこうだ。
   「口座」を開くと通帳が発行される。



   (四万十川焼酎銀行サイトより引用)


   預け入れる栗焼酎「預貯酎」は
   1口720ミリリットル(税込み5千円)。
   主力商品の「ダバダ火振」は栗を50%使っており、
   「預貯酎」は75%使う。
   アルコール度数は30度だ。


   「定期」の満期は1、2、3年から選ぶ。
   「利子」は預け入れたものと同じ栗焼酎。
   1年満期で36ミリリットル、2年で72ミリリットル、
   3年で108ミリリットルが小瓶で支払われる。
   (略)


   記者は高知県に赴任して以来、
   「ダバダ火振」を日々愛飲してきたが、これもおいしい。
   おもわず、3年の「定期口座」を新規開設してしまった。
   「預貯酎」は発売以来、約2千口を集めた。
   毎年500口の限定販売。
   ここでしか買えないプレミア感が強く、
   酒好きの間で知名度が上がってきた。
   (略)
                     (菅沢百恵)



酒にとって大事な要素のひとつ
「時間」を利子にするとはなんて豊かな遊び心なんだろう。
故山本社長の発想、実行力がいいですね。


新聞夕刊には時折こんな記事が載るのが楽しい。
高知勤務の菅沢記者、
ダバダ火振」を日々愛飲した甲斐がありましたね。
ナイスヒットの地方発信記事でした。