松岡正剛『千夜千冊ー文明の奥と底』(角川ソフィア文庫、2018)


2018年5月から角川ソフィア文庫
松岡正剛「千夜千冊エディション」刊行が始まった。
解説にこうある。


   「千夜千冊エディション」は、
   2000年からスタートした松岡正剛のブックナビゲーションサイト
   「千夜千冊」を大幅に加筆修正のうえ、
   テーマ別の「見方」と「読み方」で独自に構成・設計する
   文庫オリジナルのシリーズです。


これまで『本から本へ』『デザイン知』『文明の奥と底』
『情報生命』『少年の憂鬱』『面影日本』の6冊が出版された。
8月に刊行された『文明の奥と底』(角川ソフィア文庫、2018)を読む。
松岡自身がサイトで「重戦車」と呼んだ本が25冊並ぶ。



「追伸 何が隠されてきたのか」から引用する。


   文明が大きくて文化が小さい、などということはない。
   文明がグローバルで、文化がローカルだということもない。
   文化は変更がおこりやすく、文明は訂正が利きにくい。
   そのため文明はしばしば大きな嘘をついたままになる。
   (略)


   歴史というもの、神々の想定とともに始まり、
   部族や民族が都市・言語・交易・武器などを
   力にしていくことによって展開する。
   そのつど殺戮(さつりく)と強奪がおこったのだから、
   文明の歴史をめぐる記述は
   この暴挙の「扱い」をどう隠してきたか
   ということから始まっている。
   (略)
                    (pp.404-405)


松岡正剛千夜千冊

松岡正剛千夜千冊

(新刊で全8巻102,600円。図書館で借りてきて少しずつ読む)


サイト「千夜千冊」、『千夜千冊』(全8巻/求龍堂、2006)、
「千夜千冊エディション」はすべて編集・構成が異なる。
松岡正剛流編集術の真骨頂を楽しむには、
異なるバージョン、媒体を縦横無尽に探索するのが一番よいだろう。
最新編集の文庫シリーズは
松岡正剛ワールドへの新しい扉を提供してくれている。
今後の展開も楽しみだ。


(「千夜千冊エディション」シリーズ第1弾)