松岡正剛『情報の歴史を読む』(NTT出版、1997)


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松岡正剛『情報の歴史を読む—世界情報文化史講義』(NTT出版、1997)


情報の歴史を読む―世界情報文化史講義 (BOOKS IN FORM SPECIAL)

情報の歴史を読む―世界情報文化史講義 (BOOKS IN FORM SPECIAL)


「あとがき」から引用します。


   本書は、1993年9月27日から3日間にわたって
   千葉大学でおこなった特別講義にもとづいている。
   講義は大澤真幸助教授に依頼されたもので、
   私がつくった年表形式の『情報の歴史』(NTT出版)
   かいつまんで解説するというかっこうをとった。


   人類誕生から現代までを一気に通観するという
   大胆無謀な試みであるが、
   学生諸君を前に講義スタイルで喋ったから、
   なんとか怖じけずに通観できたようなものだった。


情報の歴史―象形文字から人工知能まで (BOOKS IN・FORM SPECIAL)

情報の歴史―象形文字から人工知能まで (BOOKS IN・FORM SPECIAL)


   もともと『情報の歴史』が大胆だった。
   これは、世界の情報文化史の詳細な流れを
   洋の東西を同一時空におさめた複合年表にあらわし、
   情報文化がどのような歴史的な外観をもつかということを
   一目瞭然にした年表本で、
   "日本の電話百年"を記念して1990年に出版された。


   編集工学研究所のスタッフを中心に
   多くの識者の協力を仰いだ作業であったため、たっぷり三年を費やし、
   私もそのあいだ、連日連夜を歴史の細部に浸ったものだった。
   本書の中に何度か挿入されているのが
   『情報の歴史』の見開きページの例である。
   すでに1996年には増補版も刊行されている。


三日間ぶっつづけ講義の内容は本書目次に記されている。


   [第一日目] RNAから聖書へ


   1 歴史を情報の窓から眺める
   2 情報文化史は彼方から始まる
   3 情報をつくりだすシステム
   4 人間の誕生と意味の発生
   5 原始観念技術の威力
   6 宗教と国家の起源


   [第二日目] オデュッセイアから複式簿記


   7 古代情報のデータベース化
   8 二つの東西帝国とユダヤキリスト教
   9 東方に流れていた思潮
   10 イスラムが世界を編集する
   11 ヨーロッパの意味
   12 東と西のリズムが同期する


   [第三日目] 花伝書からハイパーカード


   13 芸術と魔術の中の情報文化
   14 日本を「やきもの」で通観する
   15 資本主義の中の市場と劇場
   16 メディアとコミュニケーションの歴史(1)
   17 メディアとコミュニケーションの歴史(2)


   あとがき


本書も、それに先立つ『情報の歴史』も
松岡正剛40代の仕事である。
知力はもちろんだが、
気力、体力の充実した時期でなければとても完遂できない偉業だ。


千葉大学社会学部の学生諸君、
君たちは大澤助教授、松岡さんのおかげで
歴史的な三日間の講義を受けられたのだよ。
実にうらやましい。


でも、君らが熱心に聴講してくれたから
松岡さんの講義に熱が籠もり、本書が生まれた。
そのことに僕は感謝したい。
古書市場に本書が出た僥倖にも、ね。


こうした本は文庫にはならないんだろうなぁ。
(図版などが文庫サイズには収録しづらい)
文庫になればもっと多くの読者に読んでもらえる機会が
できるんだけどな。


情報の歴史―象形文字から人工知能まで (Books in form (Special))

情報の歴史―象形文字から人工知能まで (Books in form (Special))