多くの作家に信頼される名編集者の、
初めての一般読者向け単著。
斎藤哲也『試験に出る哲学—「センター試験」で西洋思想に入門する』
(NHK出版新書、2018)を読む。
試験に出る哲学―「センター試験」で西洋思想に入門する (NHK出版新書 563)
- 作者: 斎藤哲也
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2018/09/11
- メディア: 新書
- この商品を含むブログを見る
「はじめに」から引用する。
本書は、センター試験「倫理」で出題される問題をとっかかりとして、
西洋哲学のあらましと大きな流れを解説した本です。
といっても、本書は受験生向けに書かれた学習参考書ではありません。
むしろ、興味はあっても哲学にまったく触れたことのない
大学生や社会人、哲学の学び直しをもくろむビジネスパーソンにこそ
読んでもらいたいと思って書きました。
(略)
本書のレベルは、ちょうどその中間(引用者注・極端に単純化した入門書と
プロの哲学者の手による歯ごたえのある入門書の中間の意)から
少しやさしめ、といったあたりでしょうか。
難易度を五つ星で表すならば、星二つか二つ半ぐらい。
サルには読めなくとも、読解力のある中学生ぐらいであれば
十分に読みこなせる内容になっています。
(略)
本書も紙数の都合があって、引用は決して「ふんだん」とは言えませんが、
「さわり」ぐらいは触れてもらえるように配慮しました。
もちろん解説している内容の出典元は文中で明記してあります。
(略)
巻末には、さらに哲学を学びたい人のために、
ブックガイドを収録しました。
これは断言できますが、原典とされる哲学書は、いくつかの例外を除いて、
門外漢がいきなり読んでもほとんど理解することはできません。
ですから、個々の哲学者に関しても、
良質の入門書や解説書の助けを借りるに越したことはありません。
ぜひ巻末ブックガイドを活用して、
哲学熱を醒(さ)ますことなく、次なる一冊へとお進みください。
その橋渡し役ができてはじめて、
本書の役割は果たされたことになります。
(pp.3-7)
中学生のときにこの本に出会えた読者は幸せだろうと思う。
普段なじみの少ない西洋哲学史の概観が手に入る。
センター試験問題20問、個々の哲学者・学説の解説、
次の段階に進むためのブックガイドまで
細部に編集の神が宿っている。
僕自身、著者のブックガイドを利用して
5冊を購入・借り出した。
哲学の森の散策が今後楽しみになる地図と磁石が手に入った。
- 作者: 田中正人,斎藤哲也
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2015/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (8件) を見る
- 作者: 田中正人,斎藤哲也
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2017/06/29
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
本書は作家・佐藤優さんの書評で知った。
佐藤さんは僕が信頼する書評家のひとりでもある。
目利きの書評家を数人抱えることで(費用はさしてかからない)
独力では開拓できなかった読書の領域が見渡せる。
なんて贅沢な体験だろう。
- 作者: 小阪修平
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 1984/01
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
- 作者: 小野紀明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/02/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る
- 作者: 村中和之
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2015/10/14
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る