「わたし、定時で帰ります—ハイパー」が期待以上に面白かった。
朱野帰子のデビュー作『マタタビ潔子(きよこ)の猫魂(ねこだま)』
(メディアファクトリー、2010)を読む。
- 作者: 朱野帰子
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/01/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なにを隠そう、おれは聖武天皇の御代から続く憑き物筋、
いわゆる夏梅種(かばいだね)の家系である田万川家の猫魂(ねこだま)、
選ばれし猫の霊。そして潔子はその田万川家の末裔、その中でも唯一
憑き物筋の血を受け継いだ女なのである。
(p.24)
痛快無類。
普段は気の弱い主人公・潔子が怒りを溜めに溜めると、
猫魂メロ(メロンが大好物なので潔子が名付けた)と合体。
一心同体となって理不尽なふるまいの相手(憑き物が憑いている)に
反撃を開始する。
荒唐無稽な設定のようでいて、
僕たちが日々暮らす社会、人間関係の理不尽さを
鏡のように映し出している描写が秀逸。
これまでの作品をまとめて読んでみようと思う。
第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞。
この賞がどの程度のものなのか僕は知らないが、
楽しみな作家を発掘したことは確かだ。
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