150年前に言っていたなんて、すげえなあ(池上彰)

資本論』を集中して勉強していた時期に
もっとも役に立つ参考書の一冊だった。
文庫になると知って発売日に書店に買いに走った。


池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」


池上彰池上彰の講義の時間—高校生からわかる「資本論」』
集英社文庫、2019/単行本 ホーム社、2009)を読む。
(ホーム社は集英社の子会社)


池上さんは本文最後にこう書きます。


   いまあらためて『資本論』を読み返すと、
   ここから学べることは、多いと思います。
   もちろん150年前のことですから、歴史的な制約もあります。
   読んでみるとおかしなところももちろんある。


   この本は、聖書のような絶対不可侵の書物としてではなく、
   現代の視点で読むことで、学び直すことができるのだと思います。
   それでも、150年前に、これだけのことを言っていたのは、
   率直に「すげえなあ」と思ってしまいます。


   マルクスを再評価した上で、これからの経済政策や政治の方向を
   考えていくこと、それが現代の私たちの責任だと思うのです。
                          (p.305)


単行本作成時にホーム社会議室で
高校三年生、卒業生、ホーム社社長、同出版部長を相手に行った講義が
本書の元になっている。
神奈川大学的場昭弘教授、川村哲也准教授に
専門家の立場からアドバイスをもらって内容を吟味した。
「はじめに」「おわりに」は
文庫化にあたって池上さんが書き下ろしている。


単行本が出版された10年前よりさらに
資本論』のエッセンスを学ぶことが
現代を生きる上で重要になってきた。
本書は名ガイドとして目的地まで道案内してくれる。


資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

希望の資本論 (朝日文庫)

希望の資本論 (朝日文庫)

経済学 上巻 (角川ソフィア文庫)

経済学 上巻 (角川ソフィア文庫)

(読みづらいマルクスの原典を読破するには、良質の参考書が役立つ)