民族的殺戮は美しい口実のもとになされる(アミン・マアルーフ)

クリッピングから
朝日新聞2019年6月19日朝刊
折々のことば 鷲田清一(第1496回)


  民族的殺戮(さつりく)はつねに、
  もっとも美しい口実—正義、平等、独立、人民の権利、
  民主主義、特権に対する戦い—のもとになされる。
                 アミン・マアルーフ


  レバノン生まれでパリ在住の作家は
  フランス人かレバノン人かと訊(き)かれると、
  「両方です」と答える。
  「私」は職業、民族、文化伝統など
  複数集団への帰属の交点にある。


  本来は普遍的な概念も、
  アイデンティティをただ一つの帰属に限る思考と結びつくと
  「排除の道具」になってしまう。
  『アイデンティティが人を殺す』(小野正嗣(まさつぐ)訳)から。


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このことばを読んで、
著書を手にしてみたくなった。
ちくま学芸文庫から5月に出たばかりなんですね。
鷲田清一さんは古今東西の著作から(ときどき書物以外からも)
「折々のことば」を見つけてきてくれます。
勉強になります。


アイデンティティが人を殺す (ちくま学芸文庫)

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ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―

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民族とナショナリズム

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