クリッピングから
朝日新聞2019年7月11日朝刊
寂聴 残された日々 49 ふるさとの夕暮れ
「子取りが来るで」 呼ぶ母の声
子取りにさらわれると、
サーカスに売られて、帰れないと聞かされていた。
一年に一度、広っぱに来て
象色のテントを張るサーカスが好きになった私は、
何とかしてサーカスにさらわれたいと、
毎日、テント小屋にもぐりこんだものだった。
少女時代の寂聴さんがふっと目に浮かぶような一節でした。
子どもというのは大人が思いも寄らないことを
考えるもんなんだよな。
大人になるとたいがいの人は
そんな妄想をすっかり忘れてしまうんだけれど。
もったいないね。