どんな条件でも大丈夫になろう(大友義之)

クリッピングから
朝日新聞2019年7月11日朝刊
患者を生きる 3836 眠る 夜尿症(4)
移動教室 良い思い出に


   夜尿症の治療がなかなかうまくいかなかった
   東京都の小学6年の男の子(12)にとって、
   寝ている間に尿が少し出るとアラーム音が知らせてくれる
   「アラーム療法」がひとつの転機になった。
   (略)


   小学5年になった昨春、
   小学校に入って初めての移動教室が近づいていた。
   友だちにも先生にも、夜尿症のことは話していない。
   「2泊3日、大丈夫かなあ……」と不安になった。
   (略)


   そして迎えた当日、バスに乗ってしまうと、
   男の子は楽しくて不安を忘れた。
   夕食の後に、薬を飲んだ。
   寝る前に水分を取り過ぎないようにし、忘れずにトイレに行った。
   消灯し、同じ部屋の友だちと布団にくるまった。
   ふざけ合って夜中まで盛り上がり、
   気がつくと、眠りに落ちていた。


   早朝、目が覚めると、下着はぬれていなかった。
   「良かった」。
   そっとトイレに行って用を足し、また布団に戻った。
   移動教室の2泊で心配していた夜尿はなく、
   キャンプファイアなどの楽しい思い出が残った。
   (略)


   以前は、寝る前に水分を取り過ぎず、
   夕飯を早めに済ませるなど、
   生活習慣の改善に向けた決まりを守っていた。
   だが主治医の大友さんから
   「どんな条件でも大丈夫になろう。
   寝る前にがぶがぶ飲んじゃう日があってもいい」
   と言われ、試している。


   体調が悪かったり疲れたりしていると、
   夜尿があったことを知らせるアラームが鳴ることもある。
   だが、その頻度はだいぶ減ってきた。
   (略)
                      (松本千聖


f:id:yukionakayama:20190715212242p:plain:w500


「寝る前にがぶがぶ飲んじゃう日があってもいい」
主治医の大友義之さんにそう言われたとき、
男の子本人も、母親も肩の力が抜けたのではないか。
治療は守りに入りすぎるとかえってよくないことがある。
時には攻めに回ることも必要だ。
その上で無理だと思ったら、潔く退却すればいい。


1年少し前からめまいリハビリ体操に取り組む僕は
男の子の気持ちが少し分かる。
身体も心も本来ひとつにつながっているものだ。
部分だけ急いで治そうとしすぎると、
全体のバランスを失うこともあるだろう。


薬に頼らずめまいを治す方法

薬に頼らずめまいを治す方法

(リハビリ体操は軽度のめまいを意図的に小脳に体験させ、慣れさせる)