大澤真幸『社会学史』(講談社新書、2019)

全638頁。力のこもった一冊だ。
書店で見つけたときにも独特の存在感があった。
大澤真幸社会学史』(講談社新書、2019)を読む。


社会学史 (講談社現代新書)

社会学史 (講談社現代新書)


おわりにから引用する。


   社会学は、他の人文・社会系の知と同様に、
   その歴史を知らなければ、
   あるいはその歴史についてのイメージをもたなければ習得できない。
   それなのに、社会学の歴史を全体として論じた本は少ない。
   だから本書を、私はことのほか強い使命感をもって書いた。
                       (p.631)


   本書は、講談社の会議室で実際に行った講義を基にしている。
   意欲ある人に直接語ることを通じて執筆したいという私の希望に応じて、
   毎回講義に出席してくださったのは、講談社の上田哲之さん、川治豊成さん、
   丸尾宗一郎さん、奥村元春さんである。
   全員、まことに熱心であり、そして何より知識が豊富で有能なのには驚いた。
                             (p.632)


   社会学史を主題にした新書を、という依頼を、
   川治さんから受けたのは、十一年も前のことである。
   本書を世に送り出すことができたのは、
   多くの編集者の熱意あるサポートのおかげであったとあらためて思う。
   編集部の皆さんに心よりお礼を申し上げたい。
                           (p.632)


熱心な参加者を前に行った講義が
後により多くの読者を持つ名著になることがある。
大澤の『社会学史』もその一冊に連なることになるだろう。
アリストテレスから語り起こし、ルーマンフーコーまで。
本書を精読し、折に触れ参照すれば、
社会学の概要が頭に入るだろう。