牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書、2013)

ほとんどの男性が自分や周囲のセクハラに気付けないのはなぜか。
牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』
集英社新書、2013)を読む。


部長、その恋愛はセクハラです! (集英社新書)

部長、その恋愛はセクハラです! (集英社新書)


著書がまとめた「男性が気付けない理由」、
7レッスンを紹介しよう。


  その1 セクハラは『羅生門』。
     当事者の立場によって見方は変わる。
  その2 ほとんどのセクハラはグレーゾーン。
     真っ黒だけがセクハラではない。
  その3 「真剣な気持ちなら許される」と思うのは大間違い。
  その4 女性はイヤでもにっこりするもの。
  その5 中高年男性が「モテる」のは、地位と権力が九割がた。
  その6 露出の多いファッションは誰のため? 
     職場の男性のためではありません。
  その7 会社には会社の判断基準がある。



セクハラに気付けない男性を著者は一方的に糾弾していない。
多くの男性が無意識で陥るグレーゾーンからの脱出口を
本書は示しているように思う。
(犯罪そのものである真っ黒なセクハラは無論別である)


「あとがきにかえて」(pp.213-219)で、
セクハラ問題専門家と自他ともに認める著者が体験した二次被害
率直に記していることにも信頼感を持った。
会社等の研修では不足する知見を得られる好著だ。


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