田中正人・斎藤哲也(編集・監修)『哲学用語図鑑』(プレジデント社、2015)

斎藤哲也『試験に出る哲学—「センター試験」で西洋思想に入門する』
とても面白かったので連読した一冊。
田中正人・斎藤哲也(編集・監修)
『哲学用語図鑑』(プレジデント社、2015)を読む。


哲学用語図鑑

哲学用語図鑑


田中のあとがきはこんなふうに始まっている。


  「自分が見ているリンゴの色や形と
  他人のリンゴは違うのかも知れないけれど、
  違ったまま通じ合っているだけなのでは」
  「そもそもこの世はすべて夢かもしれない」


  誰もが一度は考えたことがあるであろうこの謎を、
  どうしても解決したい。
  祖父が読書家だったため、たまたま生家の壁は、
  フランス語やドイツ語で書かれた得体の知れない洋書や、
  茶色く日焼けしたパラフィン紙に包まれた哲学書
  埋め尽くされていました。


  ある日、僕はこれらの本の中に
  その答えがあるような気がしました。
  はたして、「主観と客観」の問題に挑んだ
  知の巨人たちが大勢いました。
  (略)


  これらの考え(引用者注:知の巨人である哲学者たちの考え)に
  出合ったときの驚きを可視化してみたいと考えたのが、
  この本をつくったきっかけです。
  (略)


著者の田中は1970年生まれ。
ロンドン芸術大学ロンドンカレッジ・オブ・コミュニケーション卒業。
現在はMORNING GARDEN INC.で
グラッフィクデザインを中心に書籍の企画・製作を行っている。
この図鑑のブックデザインをMORNING GARDEN INC.が担当。
哲学に出合った驚きを「可視化」していて、とても楽しいのだ。
主要哲学者70人が登場、扱う哲学用語は200以上になる。


f:id:yukionakayama:20190824175958j:plain:w600


通勤途上のK線S駅隣接の小さな書店で
本書、続編、同著者の『社会学用語講座』(斎藤は担当していない)の3冊が
入り口近くのスペースを使ってズラリ陳列されているのを見て驚いた。
知る人ぞ知る、ベストセラーの哲学入門書シリーズだったのだ。


続・哲学用語図鑑 ―中国・日本・英米(分析哲学)編

続・哲学用語図鑑 ―中国・日本・英米(分析哲学)編

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像


この図鑑をベースキャンプにして、
適切な解説書に助けてもらいながら(道案内は不可欠!)
自分が気になった哲学者の原著に分け入っていく逍遙も楽しそうだ。
名編集者・斎藤哲也の仕事だから、
充実した参考文献リストを巻末に付け、読者の便宜を図っている。


  製作 中嶋愛(プレジデント社)


(斎藤、初めての単著。センター試験問題を解きながら、西洋哲学に入門する構成)