古谷田奈月『神前酔狂宴』(河出書房新社、2019)

浜野と梶は幡ヶ谷にある派遣事務所カサギスタッフで面接を受けていた。
「時給1200円〜」につられて二人は千駄ヶ谷の高堂神社併設の披露宴会場
高堂会館で働き始めることになる。
二人とも神のことなどどうでもよくて、金オンリーの動機だ。
やがて、もう一人の登場人物・倉地(女性)が現れ、
二人の立つ足元が揺らぎ始める。
古谷田奈月『神前酔狂宴』(河出書房新社、2019)を読む。


神前酔狂宴

神前酔狂宴


文章がいい。
小説は文章がいいと、油断しながら読んでいる読者を
物語にグイグイ引きずり込んでしまう。
登場人物たちが想像を超えて動き出し、
話し始める。


この作品は朝日新聞・中村真理子記者のインタビュー記事で知った。
旧作、新作を読みたい作家にまた一人出会えた。


無限の玄/風下の朱 (単行本)

無限の玄/風下の朱 (単行本)

(2018年、第31回三島由紀夫賞受賞作品)


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追記(2019.11.9)


古谷田奈月さん、
『神前酔狂宴』で第41回野間文芸新人賞受賞。
おめでとうございます!
同じく新人賞に千葉雅也さんが『デッドライン』で受賞。
哲学書だけでなく小説でも才能発揮ですね。


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