クリッピングから
朝日新聞2019年9月30日夕刊
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家族経営の店 レジ費用重い
東京都目黒区で約100年続く酒屋「ますかわ本店」も
30日に閉店する。
店主の土橋彰さん(66)は4代目。
16年前にフランチャイズ傘下に入りながらも、
地元の人とのつながりを大切に商売を続けてきた。
年齢的に「あと2、3年」とは思ってはいた。
閉店に踏み切ったのは、軽減税率対応のレジの導入に
費用がかかり過ぎるからだ。
在庫管理などもするパソコンの交換も必要になる。
業者の見積もりでは、設備を一新すると、
国の補助があっても300万円ほどかかることが判明した。
「仕組みが複雑で、2014年の増税時とは全然違う。
あと2、3年なのに……」と妻博子さん(60)は声を落とす。
閉店間際も地域のなじみの家を、1日30軒ほど回り、
お酒やお茶を配達した。
彰さんは「たまらないよな。普通は売れ残るけど、完売。
愛されていたんだね」としんみりした。
(略)
(関口佳代子、林幹益、江戸川夏樹)
軽減税率対応レジ導入に国の補助が出ても
300万円ほどかかる事実はこの記事で知った。
家族経営の店に300万円の負担は重すぎる。
軽減税率導入を主張し実現させた公明党首脳は
こうした現実を受け止める責任がある。
物を買う生活者のために導入したはずのルールが
物を売る側の生活者を苦しめ、追い詰めている。
善意で制度を作ったつもりでも、
仕組みが複雑で、支援するツール、ソフトウェアが高価では
現場では充分機能しないことがよく分かる。