クリッピングから
朝日新聞2019年11月18日朝刊
折々のことば(鷲田清一選)第1643回
自分で気づいているかどうかにかかわらず、
人のやることはどれも命懸けなんだ
都甲幸治
将来のあてもないまま、
大好きなことをやっているんだからと、
絶望すれすれのところでともに楽しんだ日々。
若き翻訳家二人はやがて別々の道を歩むも、
一方は余りに早く逝く。
その友を思い都甲はこう記す。
何かをめざすのも拒むのも、
萎(しお)れるのもへたるのも、
希望を失い打ち拉(ひし)がれるのも、
それぞれに必死で足掻(あが)いているからだ。
『今を生きる人のための世界文学案内』から。
どうして彼、彼女が先に逝き、
僕がこうして生きているのか。
そう思える友人が、数は少ないが僕にもいる。
そんな連中とこの世で出会えたこと自体が奇遇のように思える。
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