佐藤優『神学の技法—キリスト教は役に立つ』(平凡社、2018)

自分ひとりでは理解できなかった箇所、
独りよがりで読んでいた箇所が
著者がチューターになってくれたことで理解が深まった。
僕が月に一度通う同志社東京キャンパス講座の教科書の一冊だ。
佐藤優『神学の技法—キリスト教は役に立つ』(平凡社、2018)を読む。


神学の技法: キリスト教は役に立つ

神学の技法: キリスト教は役に立つ


「はじめに」から引用する。


  本書は2015年1月に平凡社から上梓した『神学の思考』の続篇である。
  想定しているのは、キリスト教徒ではないがキリスト教について
  一歩深く知りたいと考える読者である。
  神学や哲学に関する知識のない人でも読み進めていくことができるように
  細心の配慮をした。


  日本のキリスト教をめぐる出版事情には、
  著(いちじる)しい偏(かたよ)りがある。
  キリスト教入門、聖書入門のような本はたくさんある。
  また、プロテスタント神学について言うならば、
  聖書神学、歴史神学、組織神学、実践神学の各分野に関しては、
  高度な専門書がいくつも出ている。


  しかし、入門と応用をつなぐ、
  初級、中級レベルの基本書(教科書)に相当するような本が少ない。
  それならば自分でつくってしまおうと思って書いたのが本書だ。
                            (p.2)


神学の思考

神学の思考

  • 作者:佐藤優
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2015/01/15
  • メディア: 単行本


  この二冊(引用者注:『神学の思考』『神学の技法』)を読めば、
  国際基準で教養としてのプロテスタント神学の知識は十分に付く。
  日本でならば、総合大学大学院の神学研究科博士課程(前期)の
  組織神学並びに歴史神学の試験に合格することができる。
                            (p.3)


  各章末には練習問題を付けた。
  本書の内容が理解できていれば、いずれも解答できる問題である。
  是非積極的に取り組んでいただきたい。
  「あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」
             (「ヨハネによる福音書」8章32節)
                            (p.4)
         

勉強を続けてもキリスト教についてはなじめないままだ。
人間が罪を背負っていて、そこから悪が生まれるという
マイナススタートの考えにどうしても抵抗感がある。


けれども、現在の世界を主導する米国、ヨーロッパの人間には
世俗で薄まったとは言え、拭い去れない鋳型の思考として
キリスト教があることは間違いない。
その理解が深まらなければ、日本も日本人もこの先、
世界の中で確固たる居場所を持ち続けることはできないだろう。


本書の練習問題に解答は付いていない。
メルマガ「インテリジェンスの教室」(月2回配信、購読料月額税込1,100円)を購読すれば、
質疑応答コーナーに送った解答を佐藤さん自身が添削、講評してくれる。
僕もその機会をたびたび利用している。
自分で解答を書き、内容を完璧に理解しているチューターから
フィードバックをもらうのは、最良の勉強法のひとつである。
他人の解答、
それに対するフィードバックを読むのも参考になる。


『神学の思考』『神学の技法』は、
「ウェブ平凡」 に連載された「日本人のためのキリスト教入門」
(2012年11月〜2017年2月)を加筆修正し、再構成した。
編集:吉田真美(平凡社