同志社講座・佐藤優講師「キリスト教神学」シリーズを
復習するための副読本として最適の一冊となった。
佐藤優・富岡幸一郎『<危機>の正体』(講談社、2019)を読む。
富岡の「あとがき」から引用する。
この対談のきっかけは14年ほど前にさかのぼる。
冒頭で述べたように、2005年6月に
雑誌「表現者」9月号(第2号)に佐藤優氏を招き鼎談を行った。
同年3月に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』が
刊行されたばかりでまさに話題沸騰のときである。
実はこの前に、筆者は佐藤氏と出会う機会を持った。
鼎談にも参加いただいた哲学者の大窪一志氏の紹介である。
ロシアの思想家ピョートル・クロポトキンや
ドイツの社会哲学者で革命家のグスタフ・ランダウアーの
すぐれた翻訳を刊行されている大窪氏は、
編集者を経て翻訳・著述をされている。
まさに知る人ぞ知る人物である。
三者で顔を合わせたのは、同年の4月7日のことである。
なぜ日附をはっきり覚えているかというと、
当日、佐藤氏が翻訳したJ・L・フロマートカの自伝
『なぜ私は生きているか』をいただき献辞に記されているからだ。
(p.222)
二人の対談はこんなふうに始まる。
富岡 今回、「危機の時代」をメインテーマに、
佐藤さんと存分に対話ができることを大変うれしく思っております。
佐藤 私も楽しみにしていました。
危機の時代を語るに当たって、私のほうからの強いイニシアチブで
富岡さんにお願いしました。
このテーマについて、富岡さん以外の方と話したくなかった。
でも、タイミングがなかった。
(p.12)
本書は「群像」2018年10月号、12月号、2019年2月号、5月号に、
連続対談「「危機の時代」を読み解く」として掲載。
引用・参考文献一覧と、富岡が作成した註が付いていて、
さらに広く深く自習できる構成になっている。
- 作者:佐藤 優
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: 文庫