副島隆彦『米中激突 恐慌—板挟みで絞め殺される日本』(祥伝社、2019)

副島さんの講談調文体は読み始めるとクセになる。
師匠の小室直樹さんの著作を彷彿とさせる。
副島隆彦『米中激突 恐慌—板挟みで絞め殺される日本』
祥伝社、2019)を読む。


米中激突 恐慌-板挟みで絞め殺される日本 (Econo-Globalists 22)

米中激突 恐慌-板挟みで絞め殺される日本 (Econo-Globalists 22)


「あとがき」から引用する。


  この『米中激突 恐慌』は、表紙に打ち込んだとおり、
  Econo-Globalists「エコノ・グローバリスト・シリーズ」の22冊目である。
  よくもまあ22年間も、私は金融本を毎年、書き続けて、
  生きながらえたものだ。我ながら感心する。


  この本を書き進めながら、第4章に入ったところで異変が起きた。
  私の脳にひらめきが起きた。
  第3章までは、まあ私のいつもの金融と経済
 (そしてそれを世界政治の動きから見る)の、
  どぎついあれこれの洞察(どうさつ)である。


  第4章に来て、私は急に一気に、高いところに到達した。
  問題は、米と中の貿易戦争が、IT(アイティ)ハイテク戦争に
  姿を変えたことではなかった。
  現下(げんか)の貿易戦争は、本当は金融戦争だったのである。
  すでに5G(ファイブジー)の世界基準を握った
  中国ファーウェイ(華為技術)社をめぐるあれこれの抗争と、
  米中政府間(かん)の激突ではなかった。


  問題は、ファーウェイではなく、アリババ(及びテンセント)だったのだ。
  アリババが先駆(せんく)して握りしめた、スマホ決済と与信(金融)、
  さらには預金機能(金融商品のネット販売だ)が、
  世界の金融体制を根底から覆(くつがえ)しつつある。
  まさしく大(だい)銀行消滅である。
  クレジット会社もカード会社も銀行も、世界中で消滅してゆく。


  ヨーロッパ近代(モダーン)が始まって、ちょうど500年である。
  この近代500年間の欧米白人文明が敗北しつつある。
  問題はファーウェイではなく、アリババだったのだ。
  真に頭のいい人は、本書の第4章を読んで驚愕してください。
  ついでに、ソフトバンク孫正義(そんまさよし)氏の
  力(ちから)の謎と裏側もバッサリと解いた。
  乞(こ)うご期待だ。
                        (pp.232-233)


  (原文強調傍点はこのブログでは再現できないため
  引用者がゴシックに変えて表記した)


恒例「巻末特集」には
「5G、6Gに負けない先端技術を持つ優良企業」として副島さんが23社を厳選。
株価チャート等の情報を掲載し、読者の「自己責任」での投資の参考資料としている。


  「この巻末だけを立ち読みしないで、本を買って読んでください。
  あなたが賢くなります。


と注意書きしているのが副島さんらしい。
巻末立ち読み読者をかなりの数想定できて、
腹を立てているんだろうな。


編集担当:岡部康彦(祥伝社


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