反骨心は僕には必要なかった(松坂大輔)

クリッピングから
毎日新聞2020年2月19日朝刊
松坂「悪あがきしてやろうと」
39歳 反骨心より野球愛


    —14年ぶりの西武キャンプには、もう慣れたか。
  ◆自分の中ではなじんでいるつもり。
   他の選手と一緒だったら、話に入って、いじっている。


    —一緒に練習した若手が緊張でミスする場面もあった。
  ◆気を使わせて申し訳ないなと思っている。
   若い選手には遠慮せず、自分がミスしたら
   どんどんやじってほしい。


    —9月に40歳を迎える。
     新人時代にここまで現役を続けるイメージはあったか。
  ◆漠然としていた。でも、もっと体調面の不安を感じることなく、
   元気な状態で元気な球を投げていると思っていた。


    —米国から2014年12月に日本球界に戻って以降、
     苦しんでいる期間が長い。現役を続けている支えとは。
  ◆野球が好きだという気持ちが消えなかったから。
  正直つらいなと思った時期もあった。
  やめたら楽になるだろうなと考えたけど、
   そう考えた日でも最後は好きだという気持ちが上回るから続けてこられた。


    —松坂投手には反骨心がある。
  ◆(反骨心を)持った時期もあったけど、あまり必要なかった。
   見返してやるとかそういう気持ちで野球をやるのは違うなって。
  そう思うことで自分のエネルギーになるかなと思った時期もあったけど、
  僕には必要なかった。


    —西武には若手投手が多い。
  ◆持っている能力の高さには驚かされる。
   逆に使い切れていないのかなと思う部分も多々ある。
   球の速さでは勝てないが、
   投手として総合的に考えたときに勝てないとは思わない。
   まだ負ける気がしない。


    —19年12月の入団記者会見で「燃え尽きるまで」と発言した。
     松坂投手はどうなれば燃え尽きるのか。
  ◆自分でも正直分からない。
   一時期いろいろな人に「やめるとはどんなことですか」
   と聞いていた時期があるが、同じ人はいなかった。
   今は一年、あがいてあがいてあがきまくって、
   悪あがきしてやろうと思っている。
                   【構成・生野貴紀、写真も】



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イムリーで、中味のあるインタビューだった。
一般紙でもスポーツ紙に負けない記事が掲載できることを
読者に見せてくれた。