布マスクを深掘りしたら、町おこしにたどり着いた

クリッピングから
朝日新聞2020年4月24日朝刊
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期間限定サービス。通常は月10本まで無料。以下デジタル版より抜粋引用)


池上彰の新聞ななめ読み」
首相“反撃”の2枚3300円 布マスク、実は町おこし


  いわゆる「アベノマスク」への批判が連日ニュースになっています。
  せっかくマスクを全戸配布しようとしたのに批判を受ける。
  安倍晋三首相は我慢できないのでしょうね。
  “反撃”に出ました。4月17日の記者会見でのことです。
  (略)


  〈安倍晋三首相が17日の記者会見で、朝日新聞の記者から
  「布マスクの全住所配布で批判を浴びている」と指摘された際〉
  〈「御社のネットでも布マスクを3300円で販売しておられたと承知している。
  つまり、そのような需要も十分にある中で2枚の配布をさせていただいた」と皮肉った。
  朝日新聞社が運営する通販サイト「朝日新聞SHOP」は17日現在で
  「物流に支障が出る恐れがある」として受注停止となっている〉
                           (毎日電子版)

     *

  このやりとりがネットで話題になったことを受け、
  ネットニュースのBuzz Feed(バズフィード)Newsが
  間違った情報が拡散していると指摘しました。


  〈ネット上に広がったのが、4月18日未明の以下のようなツイートだ〉
  〈「安倍総理に記者会見で布マスク批判をした朝日新聞記者に対して
  「御社で売っている3,300円の布マスク」というブーメラン突っ込みをされた後、
  突如朝日新聞SHOPを閉鎖する朝日新聞SHOPの巻」


  しかし、朝日新聞SHOPが安倍首相の指摘を受けて
  「突如閉鎖」されたという指摘は誤りだ。
  SHOPは4月7日から緊急事態宣言が出されたことを踏まえ、
  閉鎖されているからだ〉


  間違った情報が拡散しているのなら正す必要がある。
  バズフィードは、きちんとした仕事をしています。
  さらにこの記事を読んで発見したことがあります。
  次の指摘です。


  〈なお、このマスクは朝日新聞社が製造しているのではなく、
  大阪府泉大津市の老舗繊維企業がつくったものだ。
  2枚セットで手作り、4層構造の精巧なつくりという点をアピールしていた。

 
  泉大津市は「繊維のまち」として知られ、
  コロナ問題でのマスク不足で、市と商工会議所、地場メーカーが協力して
  「泉大津マスクプロジェクト」を立ち上げ、
  地元の技術を生かした布マスクを製造している〉

     *

  そこで泉大津市のウェブサイトを見ると、こう書いてありました。


 〈「繊維のまち・泉大津」のマスクプロジェクト開始!


  新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)に伴い、
  店頭でのマスクの品薄、品切れなど、
  必要な人にマスクが届かない状況を改善するため、
  泉大津商工会議所と本市が連携し、
  「毛布やニット製品をはじめとする『繊維のまち』だからこそできること」として、
  地域の繊維メーカーと小売店の協力のもと、
  「泉大津マスクプロジェクト」が始動しています。


  長年培った技術を駆使し、
  地域の繊維メーカーである6社(中略)がマスク製造に取り組み、
  各社の個性をいかした泉大津ならではの良さが詰まったマスクを揃(そろ)えました。


  布製等のマスクは洗ってまた使えるので、環境にも優しく、
  また、マスク不足の解消にもつながります。


  繊維のまちが取り組むプロジェクトで、
  新型コロナウイルス感染症の拡大を一緒に防ぎましょう!〉

     *

  なんと町おこしではありませんか。
  そういえば安倍首相は「地方創生」を言っていたのではないでしょうか。
  さらに泉大津商工会議所のウェブサイトを見ると、
  高品質のマスクの定価は2枚で3300円。


  安倍首相の発言だけ聞くと、
  まるで朝日新聞がマスクを高値で売ってもうけているかのような印象を受けますが、
  実際は定価通りでの販売。
  町おこしに協力した販売ではありませんか。
  (略)


  こんな面白い情報をなぜ朝日はすぐ記事にしなかったのでしょうか。


4月17日の安倍首相記者会見を見て、
朝日記者との一問一答に着目。
翌日の各社記事を見比べた上で、深掘り。
そして、泉大津マスクプロジェクトにたどり着き、コラムで紹介。


他人とひと味違う着眼点、翌朝の各紙報道の丁寧な比較検討、
デジタルメディア、ホームページへの深掘り。
「アベノマスク」を題材に、
ひと手間かけた新聞の読み方を教わる池上さんのコラムです。


(追記:2020年4月26日)

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我が家にも4月25日、
厚労省(医政局経済課マスク等物資対策班)から
2枚の布製マスクが届きました。
同梱の「みなさまへ」と書かれた文書の最後にこうある。


  「この度、感染拡大防止を図るため、
  一住所あたり2枚の布マスクを配布いたします。
  十分な量でないことは承知しておりますが、
  使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで、何度も再利用可能ですので、
  ご活用ください。」


これまで使ってきた紙製使い捨てマスク、
3月25日に注文し、約一ヶ月後4月24日に届いた
中国福建省製布マスクと使い比べてみます。


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(中国製デザイン布マスク。到着が何度も遅延し、出品者に連絡した翌日、
 郵便局のおじさんが配達してくれました。5枚セット送料込2,900円)



布マスクをご利用のみなさまへ

花王ホームページが紹介する「布マスクの洗い方」。とても分かりやすくて、即実践できる)