池上彰/佐藤優『宗教の現在地—資本主義、暴力、生命、国家』(角川新書、2020)

本書は2017年から2018年にかけて角川財団が主催した宗教シンポジウム(全3回)
朝日新聞社KADOKAWA共催)から池上彰佐藤優の対談を抜粋・再構成。
あらたに対談(2019年11月)を一本付け加え、編集した(構成:佐藤美奈子)。
池上彰佐藤優『宗教の現在地—資本主義、暴力、生命(いのち)、国家』
(角川新書、2020)を読む。



シンポジウムは松岡正剛がナビゲーターを務め、毎回池上、佐藤が登壇。
「宗教と資本主義・国家」「宗教と暴力」「宗教と生命」とテーマを括り、
ゲストスピーカーがスピーチ、全員でパネルディスカッションする構成。
タイミングよく、かつスピーカー、テーマが優れていれば
シンポジウムはこんなに面白くなる、と目ウロコの体験を堪能したものだった。
KADOKAWAが三冊の単行本にまとめている。



あらためて本書を読み、追体験してみても、中味は新鮮だった。
宗教は一見縁遠いようでいて、
現代生活の根っこの部分に無意識のうちに深く浸透し、
僕たちの考え方、行動の仕方に影響を与えている。


無宗教を標榜したソ連が「共産主義」という宗教を信じていたこと。
「宗教はちょっと」と敬遠気味の現代人が
「貨幣教」「学歴教」「出世教」を妄信していること。
興味は尽きない。


松岡、池上、佐藤の丁々発止をまたいつか見たい。
知の炸裂こそ、袋小路に停滞する感覚に苛まれる僕たちに
突破口を気づかせてくれるきっかけとなり得るから。
それまでは三人の著書を再読、再々読して
頭と心を錆び付かせないようにしておきたいものだなぁ。