まだ乗るつもりでいるのです(吉田章子さん、80歳)

クリッピングから
東京新聞2020年5月25日朝刊
読者投稿欄「あけくれ」 乗りたい
吉田章子さん 80歳 東京都国分寺市


  新型コロナのせいで、乗馬クラブが休業になった。
  私の人生最後の楽しみを取り上げるなんて
  神も仏もあったもんじゃない!
  私は天をあおいて毒づく。


  母が百一歳になるまで、私は母と二人で暮らしてきた。
  できることはやったつもりだ。
  仕事もやめたし、「けがしたらどうするの!」
  という母と周辺の人の声にも負けて、泣く泣く乗馬もやめた。


  それから三年半ほど過ぎて、
  「たまには馬に乗ってみませんか?」とお誘いを受けた。
  馬は大きくて、あたたかくて、心優しい。
  馬と指導員とスタッフに助けられ、楽しくて夢のようだと思いつつ
  週二回通い続けて一年と九カ月。
  私は八十歳になった。


  今度こそ二度と馬に触れなくなる。
  そんな恐怖と闘いつつ、今日もラジオ体操をし、栄養を考え、
  神と仏に良いところを見せようと道路掃除をする。


  「スタッフが総出で面倒を見ているから馬は大丈夫。
  また来てくださいね」と言っていただいたのを支えに、
  まだ乗るつもりでいるのです。


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吉田章子さんの投書に僕は元気をもらいました。
もう一度馬に乗る日々を楽しみにしている八十歳って、カッコいいなぁ。
「天をあおいで毒づ」いたり
「神と仏に良いところを見せようと道路掃除する」。
自分に正直な吉田さんに共感しました。
乗馬できる日が一日も早く戻りますように。