岡本学『アウア・エイジ』(講談社、2020/装幀・川名潤)

クリッピングから
毎日新聞2020年8月15日朝刊
今週の本棚「COVER DESIGN」(菊池信義・選)


かつて丸谷才一が刷新し、
丸谷の指名で池澤夏樹が引き継いだ毎日新聞「今週の本棚」。
新聞の書評欄における革命だったと僕は思う。
以来、ときどきおじゃましては覗いている。


「さすが」と思うのは、本の装幀の小コラムを設け、
デザイナーの菊池信義を選者にしていること。
着眼が素晴らしい。
引用する。


  旬の装幀表現は装幀者一人では生まれない。
  目利きの編集者の手際と、感性豊かな読者が平台で出合い生じる。
  それを時代の様式に育てるのが装幀者の力量だ。(菊池)


  今夏発表の芥川賞候補作だった小説『アウア・エイジ(our age)
  (岡本学著・講談社・1540円)より。


  装幀・川名潤


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書物の装幀を生業とする者にとって、
その書を担当する編集者にとって、
あるいは著者(たち)にとって、
本欄で菊池に取り上げられ、装幀について論評してもらえるのが
どれほど誇らしいことか。


装幀は本の顔であり、衣服であり、存在そのものである。
書棚で手にするときの影響力は計り知れないのに、
その仕事ぶりがあらためて着目されることは案外少ない。
「今週の本棚」池澤顧問、チームメンバーに目利きがいてこそ、
この小コラムが続いている。


アウア・エイジ(our age)

アウア・エイジ(our age)

  • 作者:岡本 学
  • 発売日: 2020/07/31
  • メディア: 単行本
(未読。コラムを読んで、手にしたくなった)


「今週の本棚」20年分の名作選全3巻。創設の裏話が丸谷自身の筆で記されている)


NHK Eテレ「100分de名著」テキストブック表紙デザインも菊池信義の仕事)


装幀談義

装幀談義

新・装幀談義

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