佐藤優『世界のエリートが学んでいる哲学・宗教の授業』(PHP文庫、2020)

なんだか面白そうなニオイがするから、
筑波大学での講義を「盗み聞き」してこよう。
佐藤優『世界のエリートが学んでいる哲学・宗教の授業』
PHP文庫、2020)を読む。



講義の聞き手代表は佐藤の友人であり
筑波大学非常勤講師/同志社大学嘱託講師の小峯隆生(こみね たかお)。
佐藤に小峯が質問したり、反対に佐藤がツッコミを入れたりしながら
双方向で講義が進む。
「まえがき」から引用する。



  日本の政治、経済、マスメディアなどで活躍するエリートには
  哲学や宗教に関する知識と教養が欠如している。
  この点を改善することが日本の社会と国家を強化するために有益と思う。


  このような私の考えに、友人であり、
  筑波大学で非常勤講師、同志社大学で嘱託講師を務める小嶺隆生氏が
  全面的に共感してくださった。
  そして筑波大学で、私が、小峰氏が選抜した学生を対象に
  「哲学的訓練」と題する講義を数回行った。
  本書にはそのときの内容が盛り込まれている。
  (略)
                          (p.5)


「第一講 なぜ哲学を学ぶのか」から
「第十七講 物事の本質をつかむ「類比」の思考」まで全17講。
それぞれの講義の最後に
参考文献として「今回の内容をより深く学ぶための本」、
重要事項のまとめとして「Point」を掲載。
受験参考書のような実用性も兼ね備えている。
小峯が本書成立の舞台裏エピソードを紹介している。


  本書の「哲学的訓練」を最初に閃(ひらめ)いたのは、
  佐藤優さんが時々行っている、
  社会人相手の本の勉強会を見学に行った時だった。
  (この形式で、大学の学生に対して講義をしてもらえれば、
  すげぇー、面白いのでは……)


  さらに閃きステップが、自分の脳内でつながっていく。
  (それも超優秀で、ゴリゴリの意識が高い学生たち相手にやってみたら……)
  佐藤優さんに会った時に、この企画案を打診したところ、
  「いいですよ」と佐藤さんから即答OKを頂いた。
  (略)


  やがて、狭い会議室に、佐藤優氏、聞き手の小峯、
  そして学生たちが詰め込まれた。
  学生の中には、当時、東京大学大学院博士課程に学んでいた
  落合陽一氏(現メディアアーティスト)もいた。
  こうして、佐藤優さんによる哲学的訓練が始まった……。

                        (pp.16-17)


この人ずいぶんフットワークいいなぁと感心していたら、
経歴に「集英社週刊プレイボーイのフリー編集者として活躍」とあった。
なるほど!


こうして、佐藤優さんの講義に潜り込んで
哲学的訓練の盗み聞きが始まった……



    本書は、2018年10月にPHP研究所より刊行された内容を
    加筆・修正してまとめたものである。


人たらしの流儀 (PHP文庫)

人たらしの流儀 (PHP文庫)

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2013/03/05
  • メディア: 文庫
(小峯が同じく聞き手を務めた佐藤優の前著)