孤立と自立は違うと思う(吉川由希子)

クリッピングから
朝日新聞2020年9月16日朝刊
読者投稿欄「声」
どう思いますか 好きなことどこまで


朝日の読者投稿欄「声」は
読者同士で双方向の意見交換を試みている。
編集担当が選んだ投稿の要旨を再掲載し、
それに対し5点の読者投稿を掲載。
賛否も含め、多様な見方、考え方を並べている。


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今回は愛知県の主婦・馬嶋理沙さん(35)の8月13日投稿
「読書に没頭の娘と先生の心配」(要旨)に対する読者意見を載せた。


  小学3年生の娘は、暇さえあれば本を読んでいます。
  家族で行ったキャンプ先でも、テント内で読書する始末。
  「せっかくキャンプに来たのに」と思いつつ、
  「本人が好きならいいかな」と夫と共に考えていました。


  しかし、担任の先生に
  「休み時間に1人で本を読んでいることが多くて、心配しています。
  お友だちと時間を過ごせるように、席替えなどで対応します」
  などと言われました。


  娘は「卒業までに図書室の本を全て読みたい」と話しています。
  友だち関係も特に本人は困っていない様子。
  このままでいいように思う半面、先生の考えもよく分かります。
  どうすることが良いのか。悩むこの頃です。


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馬嶋さんの悩みに対して
大阪府の大学院生・吉川由希子さん(27)はこんな意見を寄せている。


  本好きな子の活躍の場 作りたい


  中学1年の時、お弁当を1人で食べ、
  すぐに図書室に行き本を読んだり、
  本好きの人たちと話をしたりした。


  そんな私に担任は「もっとクラスの人と関わって」と言った。
  あるグループに入ってみたがペースが違い無理だった。
  困ったらSOSを出しますと担任に話し、図書室を居場所にした。


  孤立と自立は違うと思う。
  授業中のグループ活動や学校行事で、
  周りと協調や協力ができればいい。
  休み時間にトイレにまでついてくる友人は要らなかった。


  現在、公立と私立の教員採用試験を受けている。
  教壇に立ったら、朝読書の時間を使って、
  ペアやグループで本を紹介する活動を取り入れたいと思っている。


  読書は一見すると孤独な活動に見えるが、
  本を読むだけでなく、クラスメートや友だちに紹介された本を通して
  つながりを作ることができる。
  投稿者のお嬢さんのような本好きな子どもたちが
  活躍できる場を作っていきたい、とあらためて感じた。


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馬嶋さんご夫妻は5人の読者の意見を読んで
どんなふうに考え、話し合ったのだろうか。
新聞が作ることのできる読者同士交流の場として
「声」の試みは面白い。
瞬時に意見が飛び交うオンラインの場とは違う時間が
この場に流れている。


月一回のペースで掲載してるのかな?


本屋さんのダイアナ(新潮文庫)

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(本好きの女の子が主人公の柚月麻子の小説。面白かった)