クリッピングから
讀賣新聞2020年9月28日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週は優秀作から3首、
好きだった歌を書き留めてみます。
宝物を秘めた箪笥の二段目は
心臓の位置そっと引き出す
箪笥の二段目は心臓の位置。
だから宝物が秘められている。
作者の視点、感性のみずみずしさに心が惹かれました。
受話器もて絶句などとふことは無し
親友の死をメールが知らす
7月の終わりに友人の死を突然フェイスブックで知りました。
彼が新人の頃、僕は社会人3年目で、数ヶ月だけ一緒に仕事をしました。
いまもまだ事実をきちんと受け止められないままでいます。
人生でおそらく最後の反抗期
迎えた母の親になるべし
最期を迎えることも、それを看取ることも簡単にはいきません。
「なるべし」の結句に、覚悟する前の揺れの中で
詠み手が自身を励ましているように感じました。
作者の名前をクリックすると、
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