三浦俊章評:関正生『真・英文法大全』(KADOKAWA、2022)

クリッピングから
朝日新聞2022年10月1日朝刊
読書欄「売れてる本」
真・英文法大全 関正生 <著>



  太い幹から攻略 巧みな説明


  英語学習とは厳しい修行の道である。
  そう信じた世代に属する評者にとって、
  「わかりやすくて人生変わる」「スラスラ読める!」
  というこの本の宣伝文句は驚きである。


  読んでみると、売れている理由がわかる。
  図を使って視覚に訴える説明や、
  教室で教えているような講義スタイルは、
  最近の学習書の定番だろうが、
  教える順番にも工夫がある。
  多くの英文法書は、名詞、冠詞あたりから始まり、
  学習者は細かい規則の海でたちまち溺れてしまう。


  この本は、現在形、過去形、完了形など、
  日本人の多くが誤解している「時制」をまず取り上げ、
  太い幹から英文法を攻略するやり方だ。
  教える内容を注意深く絞っており、
  ときに伝統的な教え方と違う記述に戸惑うこともあるが、
  長年の対面・映像授業で鍛えてきた説明は巧みだ。
  (略)


  これ一冊で英文法の学習が十分かどうかは見方が分かれるだろうが、
  「迷える中級学習者」の背中を力強く押してくれるだろう。

                  三浦俊章(ジャーナリスト)

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    KADOKAWA・2420円=4刷7万部。3月刊。
    著者はオンライン予備校「スタディサプリ」の講師。
    担当者は「集大成かつアップデートされた内容で、
    幅広い層に読まれている」。