二十万の亡霊

国立新美術館に出かけた。
同僚が文化庁主催第11回メディア芸術祭で
優秀賞を受賞したのがきっかけで
作品展を見にきたのだ。
このフェスティバルについては
僕はときどき耳にするくらいだった。
審査対象がマンガ、アニメーション、CGアート、
インスタレーション、ゲーム、広告など幅広く
あらためて興味が湧いたのだ。
会場では20代らしき人たちを中心に
ときどき年配の人も混じっている。
メディアとアートのおもちゃ箱のようで
この空間にいるだけで楽しい。
新美術館の建築もこの展覧会にふさわしい(写真)。
受賞者たちのシンポジウムもスケジュールされており、
同僚は土曜日の午後、ここで話すことになっている。
展示をあらかた見終えて、
ひとつのまとまった印象が残るわけではなかった。
それと真逆に着想や表現の多様性の面白さを感じた。
従来の紙媒体のポスターなどは少々旗色が悪く、
テクノロジーとアートを独創性でつなげた作品に目がとまる。
僕が一番興味深かったのは、
広島の原爆ドームを定点観測しながら、
無数のスチル写真を使って編集した
"Nijyuman no Bourei(二十万の亡霊)"。
平穏だった一地方都市が原爆で破壊され復興され、
いまも人々の平和へのシンボルになっていることが
言語でなく映像で伝わってくる作品だ。
技術として目新しいわけではないが
視点と表現への定着のバランスがとてもよかった。
メディア芸術祭展は国立新美術館
今週日曜まで開催している。入場料は無料です。