雀と百合

庭に餌をやると常連の鳩二羽にほとんど全部食べられてしまいます。


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雀たちにもごはんをやりたくて、別の場所にSuzume Barを設置。
臆病だけどお腹が空いた雀が鳩の目を掠めて時々食べに来ます。
頑張れ。


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庭の隅に百合が咲いていました。
同居人がずいぶん前に植えた百合根が花を咲かせたのです。
頑張ったなぁ。

お隣同士で昼寝することもある

楽浪さんが我が家に来たときは
大王がしょっちゅう追いかけ回していました。
楽浪さんは逃げる一方。


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ところが、一年ちょっと経ったいま、
こんな光景も見られるようになりました。
左が大王、右が楽浪さんです。
廊下で二匹がそれぞれを舐め合っていることもしょっちゅうです。
知らない同士だった猫も仲良くなれるんだなぁ。

池上彰 x 佐藤優『希望の資本論』(朝日新聞出版、2015)(再読)

マルクス『資本論』を読む現代的意義を読者に伝えようと、
論客ふたりががっつり取り組んだ一冊。
池上彰 x 佐藤優『希望の資本論—私たちは資本主義の限界に
どう向き合うか』(朝日新聞出版、2015)を再読する。



池上の「はじめに」から引用する。
書名の由来が最初に書いてある。


   閉塞感を希望に変えるために
             (p.1)


日本社会を覆う空気を「閉塞感」と捉える。
資本論』のエッセンスを読み解くことが
「希望」につながると池上は指摘しているのだ。


   ソビエトを盟主とした社会主義諸国が崩壊してから、
   マルクスの『資本論』は、過去の遺産のような扱いでした。
                        (p.1)


   私たちは、何のために働くのか。
   働くという労働こそが、社会の富を生み出す。
   これがマルクスの労働価値説です。
   働くことで富を生み出す。
   ところが、がむしゃらに働くことで、
   生活が一層貧しくなってしまうというのが、
   資本主義のパラドックスです。
                    (p.2)


   正統派マルクス主義者は、
   「資本主義は必然的に崩壊する。
   労働者は、資本主義打倒のために立ち上がれ」
   とでも言ったのでしょうが、
   佐藤氏の主張は違います。
   資本主義の論理をよく理解できれば、
   資本主義社会で幸せに暮らせるのだ、というのです。


   それは、資本の論理を知ることで、
   資本の論理に絡めとられない生活を送ることができるから、というわけです。
   佐藤氏にかかると、『資本論』は、
   資本主義社会で元気に生きるエネルギー源になってしまいます。
                               (pp.2-3)


…と書いた後で行変えして、


   「というのは冗談ですが」


と一言添えられるのが池上さんの知性だと思います。
こう続けます。


   というのは冗談ですが、佐藤氏の透徹した論理の鋭さは、
   かつて高校時代からマルクスと格闘してきた過去があるからだ、
   ということが、今回対談してわかりました。
                          (p.3)


そしてこうまとめて
「はじめに」を書き終えます。


   たいして勉強していない私としては、
   佐藤氏の、縦横無尽に進んで、
   ときに大きく脱線する話についていくのに必死でしたが、
   そこから新たな気づきも生まれてきました。
   読者のあなたも、これを読むと、
   自分なりの新たな気づきが生まれるはずです。


   『資本論』は、かつて「運動の書」、「革命の書」として
   もてはやされました。
   しかし、『資本論』を読めば、すべてが解決するわけでもありません。
   ここから得られる資本の運動の論理の理解。
   これが、社会の荒波に出て行く若者にとって
   救命ボートの役割を果たすものと確信しています。
                           (p.3)


「社会の荒波に出て行く若者にとって救命ボートの役割」に
池上のメッセージが込められています。
謙虚に、かつしたたかに、佐藤との対談の機会をフル活用し、
メイン読者として想定する若者たちに必要不可欠と自分が信じるメッセージを
着実に伝達する。
プロのジャーナリストの、教育者の仕事です。


いやぁ理屈はともかく、ふたりの対談本はどれも内容が濃く
再読しても面白い!
知の越境が自在にできる在野の知識人の洞察を
僕もシニア・ライフの「救命ボート」に使わせてもらっている。


希望の資本論 (朝日文庫)

希望の資本論 (朝日文庫)

(文庫版も出ている。巻末の「『資本論』を読み解くための8冊 文:矢内裕子」が
コンパクトにまとまっていてさらに勉強する際に役立つ)

朱野帰子『真実への盗聴』(講談社、2012)

朱野帰子の作品が気に入って連読している。
頁を繰るうちにぐいぐい引き込まれていく作品だった。
『真実への盗聴』(講談社、2012)を読む。


真実への盗聴

真実への盗聴


主人公・七川小春(ななかわ こはる)の聴力は常人の数倍。
九歳のときに受けた遺伝子治療が原因だった。
ブラック企業である事業者金融で上司が債権者を追い込むために
小春の能力を利用していた。
すっかり嫌気がさした小春は「懲戒解雇」されるが、
この時代、再就職もままならない。


寿命遺伝子治療薬『メトセラ』を開発した製薬会社アスガルズに目を付け
面接にこぎつける。
だが、不採用。
ところが、アスガルズの子会社ASSの契約社員となって潜入し、
同社社長始め一部社員で結成された秘密結社の存在を暴くのに成功すれば
アスガルズ正社員に採用すると持ちかけられる。
小春の超聴力を使ってスパイをしろと言うことだ。
この秘密結社メンバーは『メトセラ』発売を阻止しようとしている。
開発段階で臨床試験を志願した社員が死亡している事実が隠されているのだ。


メトセラ』が発売されれば高齢者たちが一斉に購入し寿命が延びる。
国は高齢者雇用を企業に促進させ、
年金支払い開始をさらに遅らせる切り札にしようとする。
海外諸国への売り込みも期待できるかもしれない。


気軽なSFのつもりで読み始めたが、
身につまされるくらい、いまの社会が抱える問題を浮き彫りにする。
朱野版『1984』と位置づけられる作品ではないかと思えたほどだ。
ジョージ・オーウェルとの作風の違いは、
どこかに希望が持てそうなエンディングにある。
人間に対する愛情、信頼と言えるか。


朱野作品の装幀は読者の手に取りやすくするためなのか、
ライトノベル風イラストレーションが使われることが多い。
そのせいで手に取らない人もいるのでは、とも思える。


タイトルもそうだ。
文庫版では改題しているが(『超聴覚者七川小春 真実への潜入』、
軽いSF作品のように思われて損をしているかも。
一読者として余計な心配をしたくなる。


朱野作品の読後感は、
中学生のとき読んだ眉村卓の作品にどこか共通点があるかもしれない。
若い読者の意見を聞いてみたいな。


超聴覚者 七川小春 真実への潜入 (講談社文庫)

超聴覚者 七川小春 真実への潜入 (講談社文庫)


ひょっとすると七川小春シリーズとして
続編が生まれるかもしれない。
その日を楽しみにしておこう。

佐藤優・片山杜秀『平成史』(小学館文庫、2019)

二人の相性がよほどいいのだろう。
読み進むほどに楽しくなってくる一冊だ。
佐藤優片山杜秀『平成史』(小学館文庫、2019)を読む。


平成史 (小学館文庫)

平成史 (小学館文庫)


丁々発止の二人の対論はもちろんだが、
文庫とは思えないほど充実した構成が本文を支えている。
年表、脚注、ブックリスト、シネマ&ドラマリスト。
読了後、保存資料として必要に応じて参照できる。
構成としてクレジットされている山川徹の仕事だろう。


片山は「文庫版まえがき」で
平成史を「オウム史」に絡めてこう書いている。


   平成の終わる前に、新天皇即位に伴う恩赦があるとしても、
   そこにオウム真理教の死刑囚の問題を絡めたくないので、
   改元前、少し早めに死刑執行してしまうのは、国家の論理として当たり前。
   昭和の終わりに生まれ、平成の終わりに死す。
   平成史はこのように「オウム史」としても語れてしまうのです。
                              (p.007)


一方佐藤は「文庫版あとがき」をこう締めくくる。


   平成時代の特徴は、日本が戦争の直接的当事者にならなかったことだ。
   この伝統を次の時代にも引き継ぎたい。
   本書に私はそういう想いを込めた。
                           (p.526)


本書は2018年4月に単行本として刊行。
文庫版新章として「平成が終わった日—平成30-31年(2018年-2019年)」を収録。
単行本を持っている読者の中には
この新章、文庫版まえがき(片山)、同あとがき(佐藤)を読みたいために
文庫を購入する人もいるだろう。


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僕は発刊記念トーク・ライブ(新宿・紀伊國屋書店ホール)に申し込み
二人の署名入り文庫を購入した。
片山さんのサインが壮絶ですね。
トランプ大統領の署名(写真下)といい勝負です。


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佐藤さんのサインはなんだか可愛らしい。
素顔の人柄が出ている感じです。
佐藤さんの署名本、2冊目になりました。
(1冊目はメルマガ読者プレゼントで当選した『外務省犯罪黒書』)


外務省犯罪黒書

外務省犯罪黒書

平成史

平成史

荻原博子『年金だけでも暮らせます』(PHP新書、2019)

朝日新聞のインタビュー記事を読んで興味を持った。
以来、新作が出ると注意している。
荻原博子『年金だけでも暮らせます—決定版・老後資産の守り方』
PHP新書、2019)を読む。



金融庁発の「年金2,000万円不足」騒動以前、
2019年1月の出版。
まさにタイムリーな内容だ。
「はじめに」(p.3)にこうある。


   「人生100年時代」も、
   ”やらないこと”を決めれば年金だけで生きられる


僕も賛成だ。
やりたいことに専念するには、
やらないことを洗い出す作業が最優先だ。
目次を引用する。


   第1章 年金制度を理解して「老後不安」とおさらば!
      —年金の基礎知識
   第2章 意外と知らない年金超活用術
      —少しでも多くもらう裏ワザ
   第3章 生活の「意識改革」で出費を抑えなさい
      —年金生活の大原則
   第4章 やっぱり投資をしてはいけない
      —損をしないためのリスクヘッジ
   第5章 膨らむ介護・医療費のお悩み解決法
      —転ばぬ先の「貯金」のすすめ
   おわりに
      —危機に直面しても生き抜くために必要なこと


金融機関がいかに個人の老後資産を狙っているか。
その背景に起きていることは。
一方、生活者には自分の老後資産を守るための知識、情報が
いかに不足しているか。
荻原さんは経済ジャーナリストとして事実やデータを開示しながら
欠落している知識、情報を読者に分かりやすく説明してくれる。
これ一冊精読するだけでも、
そこらの年金セミナーに出掛ける以上の価値がある。
(金融機関が実施するセミナーには先方の動機がある)


荻原さんの本を読み込み、
最寄りの年金事務所に相談に出掛ける。
(とても親切!納税者として活用しない手はない)
65歳以降の自分と同居人、猫たちの暮らしの輪郭が
少しずつカタチになってくる。
それは薔薇色ではないかもしれないが、
灰色でもない未来なのだ。


投資なんか、おやめなさい (新潮新書)

投資なんか、おやめなさい (新潮新書)

朝日新聞・読者プレゼントに応募したら当選。荻原さんのサイン入り)

どんな条件でも大丈夫になろう(大友義之)

クリッピングから
朝日新聞2019年7月11日朝刊
患者を生きる 3836 眠る 夜尿症(4)
移動教室 良い思い出に


   夜尿症の治療がなかなかうまくいかなかった
   東京都の小学6年の男の子(12)にとって、
   寝ている間に尿が少し出るとアラーム音が知らせてくれる
   「アラーム療法」がひとつの転機になった。
   (略)


   小学5年になった昨春、
   小学校に入って初めての移動教室が近づいていた。
   友だちにも先生にも、夜尿症のことは話していない。
   「2泊3日、大丈夫かなあ……」と不安になった。
   (略)


   そして迎えた当日、バスに乗ってしまうと、
   男の子は楽しくて不安を忘れた。
   夕食の後に、薬を飲んだ。
   寝る前に水分を取り過ぎないようにし、忘れずにトイレに行った。
   消灯し、同じ部屋の友だちと布団にくるまった。
   ふざけ合って夜中まで盛り上がり、
   気がつくと、眠りに落ちていた。


   早朝、目が覚めると、下着はぬれていなかった。
   「良かった」。
   そっとトイレに行って用を足し、また布団に戻った。
   移動教室の2泊で心配していた夜尿はなく、
   キャンプファイアなどの楽しい思い出が残った。
   (略)


   以前は、寝る前に水分を取り過ぎず、
   夕飯を早めに済ませるなど、
   生活習慣の改善に向けた決まりを守っていた。
   だが主治医の大友さんから
   「どんな条件でも大丈夫になろう。
   寝る前にがぶがぶ飲んじゃう日があってもいい」
   と言われ、試している。


   体調が悪かったり疲れたりしていると、
   夜尿があったことを知らせるアラームが鳴ることもある。
   だが、その頻度はだいぶ減ってきた。
   (略)
                      (松本千聖


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「寝る前にがぶがぶ飲んじゃう日があってもいい」
主治医の大友義之さんにそう言われたとき、
男の子本人も、母親も肩の力が抜けたのではないか。
治療は守りに入りすぎるとかえってよくないことがある。
時には攻めに回ることも必要だ。
その上で無理だと思ったら、潔く退却すればいい。


1年少し前からめまいリハビリ体操に取り組む僕は
男の子の気持ちが少し分かる。
身体も心も本来ひとつにつながっているものだ。
部分だけ急いで治そうとしすぎると、
全体のバランスを失うこともあるだろう。


薬に頼らずめまいを治す方法

薬に頼らずめまいを治す方法

(リハビリ体操は軽度のめまいを意図的に小脳に体験させ、慣れさせる)