瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』(2011)


瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』を読む。


   本書は、これから社会に旅立つ、
   あるいは旅立ったばかりの若者が、
   非情で残酷な日本社会を生き抜くための、
   「ゲリラ戦」のすすめである。


               (p.1より引用)


僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい


瀧本が本書をこう書き始めたとき、
僕にはなんだか懐かしいような感覚があった。
はて。
本棚を探す。
庄司薫『狼なんかこわくない』(1971/1973中公文庫)か 。
こんな副題が付いている。


   若々しさのまっただ中で犬死しないための方法序説


狼なんかこわくない (中公文庫)

狼なんかこわくない (中公文庫)


本文にこうあった。


   もちろん、ここでぼくが語ったのは、
   言うまでもなく「序説」であって、
   たかだか「接近戦」を「持久戦」に持ち込む方法に
   すぎないとも思える。


     (中略)


   しかし、具体的な戦闘記録が、
   時に思いがけない戦場訓をもたらすことも
   あり得るのではなかろうか。


                      (p.20より引用)



さらに目次を探す。
あった、あった。
「ゲリラの兵士めざして」とあるじゃないか。


   兵士であると同時に市民であり、
   市民であると同時に兵士であるという
  「方法」の持つ「自由」こそ、
   少数のゲリラが強大な正規軍に対抗しうる 
   強さを支えるのは明らかなのだ。


                       (p.169より引用)



瀧本の本を読んで手軽な答えを見つけたかった読者は
きっと失望しただろう。
瀧本は「マーケター」であり「イノベーター」であり
「リーダー」であり「投資家」であり、
4つの顔を使い分けろと助言する。
この本の一番の役割は
読者である若者たちの意識を変えることではないか。



意識を変えゴールを設定すれば方法論は見つかる。
方法論がまったく見つからないなら
設定したゴールが間違っている可能性がある。
そうした思考のためのヒントには本書は事欠かない。
ゲリラになるには正規軍の存在と居場所を明らかにし、
彼らの行動を分析予測しなくてならないのだ。


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ブロガーharuharuyさんの書評にリンクしておこう。


(文中敬称略)