池上彰『高校生からわかる「資本論」』(2009)


このところ勉強しているテーマのひとつが
マルクスが書いた『資本論』だ。
池上彰『高校生からわかる「資本論」』を読む。


高校生からわかる「資本論」 (池上彰の講義の時間)

高校生からわかる「資本論」 (池上彰の講義の時間)


池上は例えばこんな一節を抜き出し、
高校三年生、卒業生たちに講義する。


  労働手段つまり工場や機械は、
  みんなで一緒でないと使えなくなる。
  「すべての民族が世界市場のネットワークに組み込まれ」、
  すごい、マルクスは今から140年前にこんなことを言っている人だ。
  これつまりグローバル経済のことだよね。
  (p.268から引用)


池上自身、大学時代に『資本論』読解に挫折したと打ち明ける。
社会人生活を経験し、
マルクスが影響を受けた旧約聖書新約聖書コーランなどを読み
理解できるようになったと言いながら池上流でエッセンスを解読していく。
「おわりに」のつぶやきが面白い。


  該博な知識の披瀝、華麗なレトリックの数々の文章は、
  いったい誰に読んでもらおうと思って書いたのでしょうか。
  (p.287から引用)


本書が出版されたのはリーマン・ショック後、
多くの人が仕事、住まいを失い、
「派遣切り」などという無神経な言葉が飛び交った2009年。
2016年の今日、マルクスの『資本論』は
凡百の経済書が及びもつかない頂から
資本主義の本質を明快に読み解く。
佐藤優池上彰シェルパの助けを借りながら
僕もそろそろ本格的に登頂開始だな。


いま生きる「資本論」

いま生きる「資本論」

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)


(文中敬称略)