まず体を動かして、やってみること自体が素晴らしいんですよ(森下洋子)

クリッピングから
讀賣新聞2024年4月22日朝刊
人生100年の歩き方」 毎日喜びをもって生きる
森下洋子さん(バレリーナ)②  聞き手・久田恵さん(作家)


     (略)

  森下 まず体を動かして、
     やってみること自体が素晴らしいんですよ。
     うちのバレエ学校には「エレガンスクラス」という
     大人の初心者クラスがあって、
     70、80代で発表会に出る人もいるんです。
     お勤め帰りに通ってくれたり、
     50代になって初めてトウシューズを履いたりする人もいます。
     こんなに幅広い世代がバレエに親しんでいる国は、
     日本のほかにはないですね。

  久田 私も再チャレンジしてみようかしら。

  森下 ぜひ。
     皆さん、生き生きして、本当にきれいになるんです。
     衣装を着て、メイクをして、照明が当たる舞台に立つと、
     皆さん喜びに満ちあふれて。姿勢もよくなるし、
     手がきれいに上がるようになります。

     「地下鉄の階段を上れるようになりました」とか、
     「背中がきれいになったと言われました」とか
     生徒さんが報告してくれます。

  久田 すごいですね。

  森下 バレエは難しいと思っている方や、
     シニアの方に健康になっていただきたいと、
     バレエの動きを取り入れた体操のクラスもあります。
     バレエの音楽に合わせて、
     笑顔で脚を上げ下げしたり、膝を伸ばしたり。
     90代の方や男性の参加者もいらっしゃいます。
     皆、汗をびっしょりかいて、
     すっきりしてお帰りになります。

  久田 それはいいわね。
     私は普段は近所を散歩するくらいで、
     体を動かさないから。

  森下 何でもそうですけれど、
     いつ初めても遅いということはないんですよ。