みんなが来るからやめられない 早朝ミエ道場

クリッピングから
毎日新聞2023年6月19日朝刊
人生100年クラブ」元気の源はご近所に
中尾ミエさん(77)、公園が「道場」


ワタナベエンターテインメント提供)


  2019年、ブロードウェーミュージカル「ピピン」で
  祖母を演じることが決まった。
  演技では高さ約3㍍の空中、
  逆さまの状態で歌うことが求められた。
  ジャズダンスやバレエ、タップダンスに加え、
  50代で水泳を習い始めるなどアクティブな中尾さん。
  (略)


  ミュージカルに備えて週2回、
  パーソナルトレーナーとジムで鍛えた。
  更に「体は毎日、動かしたほうがいい」と考え、
  東京都内の公園でトレーニングを始めた。


  早朝、愛犬の散歩コースにある公園でうんていにぶら下がり、
  腕や肩、握力を鍛えた。
  ラジオ体操やウオーキング中でその場に居合わせた
  50〜80代の男女20人ほどが見守るようになった。


  ひたむきに運動する中尾さんの姿に引き寄せられたのか、
  いつしか一緒に体を動かす人が増えた。
  トレーニング時間は30分ほどで、
  近所の住民らは「ミエ道場」と称する。


  滑り台の階段に足をかけてのストレッチなど
  公園の遊具を駆使して、どんな運動ができるのかみんなで考える。
  毎日のように集って体を動かすと、
  ミエ道場のメンバーに効果が出始めた。


  階段を上るのが楽になったとか、
  ぶつかりそうになった自転車をよけることができたとか。
  「継続は力なり。大変なことをしなくていい。
  続けることが大切なんです」


  ミエ道場の効果もあり、19年の公演に続き、
  22年の再演でも曲芸をやってのけた中尾さん。
  「みんなが来るからやめられない」として、
  今も朝の日課は続いている。
  (略)


  新しいことに挑戦し続ける中尾さんは仲間づくりがうまい。
  だが、「自分が何に向いているのか分からない……」
  と踏ん切りがつかない人も少なくないのではないだろうか。
  そんな人に対し、中尾さんはこうアドバイスする。


  「とりあえず一歩を踏み出せば、
  自分が何に向いているか分かるようになります。
  勉強だって、やってみると
  自分が何を理解していないかが分かるでしょ。
  とにかく始めてみればいいんです」
  (略)

                     【大野友嘉子】